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無事児童英語講師講座も修了した私は、お正月休みをメルボル
ンで過ごした。メルボルンのあるビクトリア州は、その昔、金脈
が発見されたことでも有名だ。


オーストラリアは、1850 年代にゴールドラッシュに沸いた。多
くの移民たちが金を求めて押し寄せた。金鉱ではイギリスから来
た権力者たちが高額な採掘料のほかに採掘した金に対して税金を
取り、鉱夫を搾取していた。


苦しい状況の中、鉱夫たちは「マイトシップ」という強い仲間
意識を持っていたとされる。1854 年に、彼らは体制に反旗を翻し、
「ユーリカ・ストッケード」という反乱を起こした。


今でも権力に立ち向かう姿勢はオーストラリア人の国民性とし
て深く根付いている。この反乱では、南十字星だけが描かれた旗
が掲げられた。


「イギリスのユニオン・ジャックがないこの旗をオーストラリア
の国旗に」
という意見は、今でもあるという。


現在、この反乱があったビクトリア州のバララットの町には、
「ソブリン・ヒル」というテーマパークが作られ、ゴールドラッ
シュの時代の街並みが再現されている。砂金すくいも体験できる。
毎年金を補充しているので、運が良ければ、金を探り当てること
もできる。


夜に行われるユーリカ・ストッケードの戦いを再現した光あふ
れるショー「ブラッド・オン・ザ・サザン・クロス(Blood on the
Southern Cross)」は圧巻。2005 年のオーストラリアのベスト・
ツーリスト・アトラクションに選出されている。歴史を学ぶため
にも訪れたいスポットの一つ。


ゴールドラッシュの際にはイギリスだけではなく、中国、アメ
リカやフランス、イタリア、ドイツからも移民が押し寄せたとい
う。金鉱でも多文化が存在したわけだが、中国人を排斥しようと
する差別運動があったことなども、このテーマパークでは学ぶこ
とができる。


いろいろな歴史を経て、現在多文化主義政策を取るようになっ
たオーストラリアでは、人種を超えてマイトシップの枠が広がっ
ていることは実に喜ばしいことだ。


次回に続く