「授業で使いますから、リーディング・ブリックは、セクレタリ
ー・デパートメントで買っておいてください」
と、教授に言われて、嫌な予感がした。ブリック(煉瓦)とい
う言葉から、いかに分厚い教材であるが容易に想像できた。実際
に買いに行ってみると、A4 サイズの用紙の両面に、細かい字で
学術論文がびっしり。それぞれの科目に2冊ずつ用意されている
から、その重さは相当なもの。


ANU では、市販のテキストだけではなく、教授がコースのシ
ラバスに沿って、授業に関連する論文をまとめた独自のリーディ
ング・ブリックを用いる。いろいろな研究者の学術論文が掲載さ
れている。


論文は大きく、読まなくてはならない「リクワイヤード・リー
ディング」と読んでおいたほうがいい「リコメンデッド・リーデ
ィング」の2つに分けられる。


チュートリアルでは、毎週「チュートリアル・クエスチョン」
というディスカッションのテーマが設定されていて、必須文献を
読んでいないと、議論に全くついていけない。プレゼンテーショ
ンの担当になった週に関しては、リコメンデッドの文献も読むこ
とになる。プレゼンをした後には、普通のエッセイより短いチュ
ートリアル・ペーパーの提出が義務づけられていた。


オーストラリアの大学で、一つ驚いたことは、ある日チュータ
ーが休みで、チュートリアルが急にキャンセルになったときに、
すでに教室に集まっていた学生たちは、帰ろうとはせず、
「せっかくだから、みんなで今週のテーマを話し合いましょう」
と、チューター抜きで自習を始めたことだ。生徒たちの勉強熱
心さには、驚かされる。オーストラリアの大学では、とにかく課
題が多いので、休み時間の図書館は、必死に勉強する学生で常に
いっぱいだった。

brick
Culture and Person のチュートリアル・クエスチョン:
Week 1: Introduction to the Course
Week 2: Biology, culture and person
Tutorial Question: Are we the products of biology?
Week 3: Toward a Genealogy of the Western Self
Tutorial Question: What are the main characteristics of
modern Western person? Are these natural?
Week 4: Personhood and Sexuality in the West.
Tutorial Question: What is the relationship between person
and sexuality in the modern West?
出展:Culture and Person のシラバス