「見て見て、虹色の鳥が飛んでるよ」
と、オーストラリアに着いて間もない頃、私がものめずらしげに緑にオレンジ、赤、黄色の羽を持った鳥を見つけて指差すと、
「あぁ、あれね。レインボー・ロリキート(Rainbow Lorikeet)っていうオウムだよ。知らなかった? 」
オージーの友人は見慣れているようで、驚きもしない。その理由は、住んで間もなく判明。
あれほど色鮮やかな鳥は日本では、動物園の野鳥コーナーかペットショップでしか、お目にかかれないが、オーストラリアではそのような鳥が、毎日のように飛び交っている。庭先の木に。鳥用のえさ籠をぶら下げておけば、間近で珍しい鳥を見ることも簡単なのだ。
キャンベラの大学が休みになると、シドニー郊外に住んでいた両親の家を時々訪ねた。そこには、ロリキートのほか、クカバーラ(Kookaburra)といわれるワライカワセミ、身体は真っ白で黄色い頭の羽が目立つコカトゥー(Cockatoo)、ロゼラ(Rosella)などが頻繁に飛んできていた。
「ひき肉には反応しないのよ」
母はワライカワセミの餌付けに四苦八苦。カワセミが、キッチン前のテラスに遊びに来ては、餌を待っている。
「いいお肉の塊は、喜んでキャッチして食べるが、安いひき肉には見向きもしない」
とのこと。贅沢を知っているらしい。
「お宅のプールにヘビが泳いでいたから、気をつけたほうがいいですよ」
ある日、家のポストに隣の家の住人から、メモが投げ入れられていた。ちょうどそのとき、庭の手入れに来ていたガーデナーに
「ヘビがいるって言われたけど、何か知りませんか」
と、聞いてみると
「多分ゲッコー(Gecko)のことだろう。プールのモーターの辺りに、住みついているみたいだね」
と、平然と話してくれた。
彼は、日ごろ自然と接しているからか、実におおらかな性格。そして大抵のことでは動じない。庭には有毒のレッド・バック・スパイダー(Red-Back Spider)がいるというのに、いつも半ズボンで庭仕事に来ていた。
とにかく、プールにゲッコーがいると聞いた母と私は、興味津々。ある日、煮物の残りのお肉を長い棒の先につけて、ゲッコーをおびき出す作戦を決行した。煮物の匂いにつられて、なんと長さ30センチほどの大トカゲが姿を現した。
「ヤモリのように家にいると幸運をもたらしてくれる爬虫類」
という説もあり、駆除はせず、そのまま一緒に暮らす運びとなった。
川のそばに住んでいる人の話では、
「庭仕事をしている時に背後から視線を感じて、振り返るとアリゲーターだった」
という。それに比べると、ゲッコーはまだかわいい方だ。
オーストラリアの「ワイルド」ライフは庭先でも十分堪能できる。煮物に食いついたのがゲッコーじゃなかったら、なんて考えるとぞっとするが。。。
