いつもの土管で、ぐーすけぴーが、いつものへそ天で寝ている。ふわクンが、その上にひらりと飛び乗る。しかし、ふわクンは軽いので、ぐーすけぴーは動じない。ふわクンは、ぐーすけぴーの上で、毛づくろいを始めた。ふわクンのピンク色をしたふさふさの尻尾が、ぐーすけぴーの鼻の穴の中に入る。ぶえっくしょん!ぐーすけぴーが、盛大なくしゃみをした。そこに、ベレトがこんばんにゃとやってくる。コータローが、のっしのっしとやってくる。「ふぃ〜、歩くだけで疲れたにゃ。」デブ猫で有名なコータローは、見かけによって動作がのろい。これで、今日の集会のメンバーは、全部かニャ。ぐーすけぴーも起きたことだし、そろそろ夜回りでも始めようかという雰囲気になったその時、ヒューーー、、ドン!と大きな音がして地面が揺れた。にゃにごとかと思って、辺りを見回すメンバー達。みんなでキョロキョロしていると、上空からふわりふわりと傘が舞い降りてきた。いや、よく見ると、傘に何か丸い物がくっついている。ふわりふわり。ふわりふわり。ピタッ。ぼくらの前に、傘と何か丸い物が降り立った。丸い物が、むくむくと動きだす。どうやら、丸い者のようだ。丸い者は、手足のようなものをぴょこんと出す。丸い。丸い。丸い。手も足も、体も頭も、全て丸い者だった。丸い者は、いきなり高笑いを始める。「ふはははははは。ぼくの名前は、モノえもんにゃ。この星を侵略しに来たにゃ。」ベレトが、「侵略って何にゃ?」と首を傾げる。コータローも、「うめえのかにゃ?」と首を傾げる。「ふはははははは。愚かな者達にゃ。教えてやるにゃ。つまりは、ここをぼくの縄張りとするにゃ。」モノえもんの言葉に、ぐーすけぴーが跳ね起きる。縄張りと聞いて黙っていられないのは、野良猫の習性だろう。「にゃんだ、こいつ。やるにゃ?」にゃ。ニャ。にゃ。にゃ。ぐーすけぴーの声かけに、みんなが反応し、臨戦体制をとる。すると、モノえもんは慌てた様子で言う。「ま、待つにゃ。ぼくは1匹じゃないにゃ。ぼくをボコボコにすると、後から来るぼくの仲間が黙っちゃいないにゃ。」
「試してみるニャ?」ぼくが聞くと、ぐーすけぴーが後に続いた。「生かさず殺さずにゃ。」モノえもんはたじろいで、「ま、待つにゃ。実は、困ってるにゃ。助けて欲しいのにゃ。実は、ぼくの乗り物が壊れたにゃ。あれがないと、仲間に連絡がとれないにゃ。」モノえもんの懇願に、みんな前進の足を止める。お猫好し達ばかりニャ。「お、聞いてくれるにゃ?ありがたいにゃ。ぼくの乗り物は、飛ぶにゃ。で、なんと言うか、丸いにゃ。」みんニャの目が丸くなる。丸いお前が言うにゃ、と突っ込んでいるわけではないニャ。まさか集会メンバーじゃない者が、ニャラティブを始めるとは思ってニャかったからだ。モノえもんは、お構いなしにどんどん話す。「お皿みたいにゃ。それで、ここじゃない遠い遠いところから来たにゃ。」ここで、みんな分かった。見たことは1度もないけど、なんとなく分かった。全員が共有できたので、新しい猫語ができる。モノえもんにぼくが名付けていいと言われたので、ぼくが作ることになった。「やきそばニャ!」にゃー。にゃー。良かったニャ。にゃっとくしてもらえたニャ。そんなこんなで、まずはやきそばを探すことになったが、何匹かがごねた。「おれたちのメリットはにゃんだ?」「こんにゃ、にゃまいきな奴のためにタダ働きはしたくにゃいにゃ。」などと言っている。モノえもんは、やれやれという感じでため息をついた。「仕方ないにゃ。侵略する際には、この町だけ見逃してやるにゃ。どうにゃ?」ぐーすけぴーが、「やっぱコイツ、ボコるにゃ。」と言った。モノえもんは、途端に涙目になる。「ごめんにゃ。悪かったにゃ。そうだ!やきそばの中に、めちゃめちゃ美味しいものがあるにゃ。うちゅ〜るって言うにゃ。それを、全部あげるにゃ。」「よし行くにゃ。」すたすたと歩き始める猫達。食べ物の力は偉大ニャ。広場を1回りして、他の猫達に話を聞いていく。ぐーすけぴーが聞き込みに当たったポピーという猫が、どうにも歯切れの悪い答えしか言わないというので、ベレトとコータローとふわクンが加勢してポピーを囲んだ。
「ポピー、おめぇよぉ、前においらやベレトに殴られたこと覚えてにゃいのか?」ぐーすけぴーが脅しをかける。あ、思い出したニャ。アイツ、以前、ぼくを出会い頭にパンチしてきた奴ニャ。ポピーもようやく思い出したようで、急にビビり出して、小声でごにょごにょと答えた。ぐーすけぴーが顔を近づけて、何とか聞き出した。「分かったにゃ。どうやら、やきそばは森に落ちたらしいにゃ。そして、森にはモリモリという猫がいるそうにゃ。モリモリは、森のことを大体知っているということにゃ。モリモリは、何か持って行くと、色々教えてくれるみたいにゃ。その何かは、人間のおっちゃんがふんふん言いながら、土の中に埋めるやつにゃ。埋めると、後から何か出てくるにゃ。」うん、やっぱり集会内でのニャラティブは、しっくりくるニャ。みんなで共有したので、ぐーすけぴーが名付ける。「おっちゃんのごまにゃ。」ぼくは心当たりがあったので、みんなに断って、1度家に戻った。家のベランダにのぼって、テーブルの上からおっちゃんのごまを取り出す。飼い主であるリサちゃんのママさんが、があでにんぐとか言って、ベランダで色々と育てているのだ。よしと思って油断したぼくは、テーブルから降りる際に後ろ足を皿に引っ掛けてしまった。ばらばらばらばら。おっちゃんのごまを大量にぶちまけてしまったが、とりあえず後回しニャ。広場に戻ると、不思議な光景が広がっていた。ぐーすけぴーがへそ天している上で、ふわクンがすやすやと寝ている。ベレトがモノえもんと肩を組んで、「ぼくらは、お互いに子分でもあり、親分でもあるにゃー。」と鳴いている。その隣でコータローが、「さっきベレトにあしあとをつけたから、おれが1番偉いにゃー。」と鳴いている。ニャにがニャンだか。とりあえず、ぼくがおっちゃんのごまを持って戻ってきたことに気づくと、みんなで森へ移動しようという流れになった。森に着くと、ぼくはノネコとタヌキに囲まれた。ぼくが困っていると、コータロー、ふわクン、ぐーすけぴーが助けてくれた。ぐーすけぴーは爪研ぎに最適な木を見つけて、ゴキゲンになった。
森の中心で、コータローがにゃーんと叫んだ。何も起きない。ふわクンが、「もう1度、叫んでみるにゃ。」と頼む。コータローが、もう1度叫んだ。すると、木が喋った。「おれのことを呼ぶのは、お前達か!?」目を細めて木をじっくりと見ると、枝の1本がゆさゆさと揺れた。葉っぱの裏から、全身の毛がふさふさとした猫が現れた。「おれはモリモリだ。何か用か?」ぼくは急いで、おっちゃんのごま、じゃなくて、ママさんのごまをモリモリに捧げた。「ぼくたち、このモノえもんが乗ってきたやきそばという乗り物を探しているニャ。どうも、この辺に落ちたという話ニャ。何か知らニャいかな?」モリモリは目をきらりと光らせて、無言でママさんのごまを受け取る。「ふむ。さっきのデカい音がしたやつか。よし!森の者に聞いてきてやろう。また、後で来るが良い。」そう言うと、モリモリはまた葉っぱの裏に消えていった。ぼくはここまで聞いて、後の調査は誰かに任せることにした。気分的には、高い所から見守りたいのニャ。ぼくは、近くにあった背の高い木を登った。しかし、つるつると滑る肌をしていたため、無様に落っこちてしまった。こうやるにゃー!すたたたたと、ぐーすけぴーが木を登り切った。むむむむむ。さすがは、俊敏なデブニャ。ベレトがモリモリのにおいを嗅ぎ、彼の後を追った。しばらくすると、ベレトは帰ってきた。とてもニコニコしながら、話し始める。「あのモリモリって猫、めちゃめちゃ威厳のある感じだったけど、実はすごいかわいい猫だったにゃ。土をいそいそと掘り始めたかと思うと、ママさんのゴマを埋めたにゃ。ぼくが見ていることに気づくと、照れ臭そうに近づいて来たにゃ。それで、やきそばの落ちた場所を教えてくれたにゃ。そこは、森に住む者達の餌場にゃ。美味しい魚がいっぱいにゃ。そこの真ん中に落ちたから、ぼくらじゃ取りに行けないだろうと言ってたにゃ。」今回のニャラティブも、すぐにみんなで共有できた。ベレトは素直に、その場所を「ちっちゃい魚がいるところ」と名付けた。
ベレトの更なる情報によれば、モリモリは、今夜はどういうワケか森にヨナが大量に集まってきていると言っているらしい。この謎を解いてくれれば、ちっちゃい魚がいるところの真ん中に落ちた、やきそばまで行く方法を教えてくれるという。「それじゃ、探ってみるにゃ。」と言って、ふわクンが眠りに落ちた。何度も言っているけど、猫の眠りを甘く見ちゃダメにゃ。猫の夢は、時に真実を見抜くニャ。ふぁーあ。ぼくらも眠くなってきたニャ。ぼくは、ぐーすけぴーがイタチに襲われて、返り討ちにする夢を見た。すごいニャ。やっぱり、ぐーすけぴーニャ。それにしても、今夜は、やけに猫や人間以外の動物が出てくるニャ。そんなことを思った時、ぼくはハッと目が覚めた。同時に、ふわクンも飛び起きた。「ニャラティブにゃ。」寝惚け眼の猫達を相手に、それは唐突に始まる。「夢を見たにゃ。ヨナ達は、やきそばにひかれて、集まって来てるにゃ。もっと言うと、やきそばの食べるエサにひかれているにゃ。そのエサは、きっと中で猫が汗だくで、カラカラと回しているにゃ。」「分かったにゃ。何かすんごい爆発を引き起こすやつにゃ。」ベレトの答えに、ふわクンが首を傾げる。「そんなに爆発するかにゃ〜。」ぐーすけぴーが尋ねる。「それは、減るにゃ?」「うーん、減らないと思うにゃ。」その言葉で、ぐーすけぴーとコータローとぼくは分かった。ぼくが引き取って、ニャラティブをする。「鉄の魔物の中にも入っているニャ。グイイイインと音がするニャ。この音がしたら、鉄の魔物の下からすぐに逃げないと危ないニャ。」ベレトにも伝わったので、新猫語の発表ニャ。ふわクンの説明を尊重して、「猫がカラカラ」にしたニャ。集会は、やきそばの中の猫がカラカラを求めて、ちっちゃい魚がいるところへと移動した。ちっちゃい魚がいるところの周りは、なかなか危険なエリアだった。ぐーすけぴーが犬に襲われたり、若い人間達が大音量を流していたり、鉄の魔物が爆走していたりしていた。
ぼくは間近で大音量を聞いたので、かなり驚いたが、モノえもんがぼくの耳を塞いでくれた。モノえもん、お前、実はいい奴ニャー。ぼくは感動して、モノえもんにハグをした。モノえもんは嬉しそうに、「誰かを助けるって、気持ちいいにゃ。」と言った。ちっちゃい魚がいるところから、変な生き物が陸に上がってきた。変な生き物は緑色をしていて、頭にお皿のようなものをのせている。「おめーだづ、おらと相撲を取っぺ?」と、いきなり喧嘩をふっかけてきた。ベレトがその申し出を受けて、相手になった。変な生き物はなかなか手強く、ベレトはひょいと投げ飛ばされてしまった。したたかに地面に叩きつけられたベレトは、ケガをしてしまった。変な生き物はそれで満足したようで、ちっちゃい魚がいるところに戻っていった。ぼくらは、ベレトのケガを気遣った。コータローが、やきそばの位置を探そうと、自分の首についている鈴を鳴らそうとした。何でも、コータローの飼い猫のおばあちゃんが特別に作ってくれた鈴だそうだ。だが、うまく鳴らすことができない。そこに、再びモノえもんの登場ニャ。「ここに何か詰まってるにゃ。掃除するにゃ。」と、せっせと鈴を拭き始めた。チリリーーーーン。鈴の音が遠くまで、よく響き渡った。ポゥっと、ちっちゃい魚がいるところの中心部分が光る。ぼくは、またまたモノえもんにハグをした。「うーん、あそこまで歩いて行くのは難しいにゃ。あれが必要にゃ。あれにゃ。あれにゃ。」コータローが頭を抱える。「えーと、水の上でぷかぷかする生き物じゃないものが必要にゃ。」ニャるほどニャ。それは必要ニャ。みんな、納得した。コータローが「動く橋」と命名した物が、ちっちゃい魚がいるところの岸にあった。鳥のような形をしていて、ちょっと旨そうニャ。けれども、動く橋の周りには、動物ヨナ達が群がっていた。「あ、あれは、ぼくのやきそばのエサにゃ。」モノえもんが、前足で動く橋の上の四角い物を指し示す。四角い物は、やきそばから抜け落ちた猫がカラカラのようだ。
当然だけど、戦闘開始ニャ!相手は、ノネコ2匹、タヌキ1匹、イタチ2匹、ヘビ1匹。む、ちょっと多いニャ。ぐーすけぴーとコータローが、警戒体制をとる。ふわクンがピンクの尻尾をなびかせて、ふわりと跳んだ。ぼくはリサちゃんがヘビ嫌いだったことを思い出し、そんな想いを込めて、ヘビに噛み付く。ヘビがさっと避けようとしたが、モノえもんがその逃げ道を塞いだ。ナイスアシストニャ!ベレトはタヌキにガブリついた。相手の攻撃は、苛烈だった。ノネコががりがりと引っ掻いてくる。ベレトが、またケガを負った。イタチが尻尾で、ぐーすけぴーを弾き飛ばす。あ、あの、ぐーすけぴーがまともに直撃を受けるニャンて!ヘビがコータローを締め上げる。ヤバいニャ!ヤバい状況ニャ!ぼくは焦りで、イライラする。そのイライラを、攻撃にぶつけることにした。シャシャシャシャシャシャシャー!相手全員を、引っ掻いて回った。タヌキが倒れた。ふぅーっ!疲れたニャ。もうダメニャ。動けないニャ。「ムク、後は任せるにゃ。あのヘビは、もう一撃で落とせそうにゃ。見てるにゃ。」ふわクンがヘビに噛み付こうとする。しかし、ヘビは弱っていながらも、機敏な動きを見せる。ぼくは迷った。ぼくは、もう疲れ切っている。ふわクンを助ける余力はない。助けられる可能性はゼロに等しいし、下手をすればケガを負う。ぼくは周りを見る。コータローは逃げるヘビの尻尾に巻き付けられて、身動きがとれない。ベレトもぐーすけぴーもさっきのダメージが響いて、自分を守るのに足一杯ニャ。今ここでヘビを落とさなければ、また猛攻が来る!もう、やるしかにゃいニャ!ぼくは力を振り絞り、ケガを覚悟でヘビの前に立った。がぶり。ふわクンが噛み付くと、ヘビはどさりと倒れ、コータローもどさりと落ちた。やったニャ!やったニャ!やったニャ!コータローの落ちた場所がまたちょうどよく、ノネコの上だった。「おれは、だんだん重くにゃ〜る。おれは、だんだん重くにゃ〜る。」ぐえっ!コータローが自分の体重を利用して、ノネコの1匹を潰した。
ヘビはいない。タヌキもいない。ノネコの片方は倒した。残るは、ノネコのもう片方とイタチ2匹。ノネコが引っ掻いてくる。イタチが尻尾を振り回してくる。どちらも、ぐーすけぴーを狙っている。「よっしゃ!来いや〜。上等だよ!オラァ!」お、お、おお、いつもはのんびりしているぐーすけぴーが覚醒したニャ?ノネコの引っ掻きは食らってしまったが、イタチの尻尾は跳ね返した。「同じ攻撃は効かないんだよ!オラァ!」ぐーすけぴーが怒りに任せて、突進した。ノネコにダメージを与える。だが、動く橋のへりにぶつかってしまい、目を回す。ぼくは動く橋に登ろうとしたが、また滑って失敗してしまった。ぐーすけぴーも目を回したまま、動く橋に登ろうとするが、今回は失敗してしまった。ベレトが噛み付こうとして、失敗する。ふわクンが相手の戦意を削ごうとしてあくびをするが、ノネコに叩かれてケガをする。コータローが引っ掻こうとして、失敗する。ダメニャ。失敗が失敗を呼んでるニャ。誰もが疲労困憊していて、猫の手も貸せないニャ。ピンチニャ。ノネコが懲りずに、ぐーすけぴーを狙う。ついに、ぐーすけぴーがケガを負った。ぼくも、イタチに噛まれてケガを負う。もう1匹のイタチは、コータローを狙うがこれは当たらなかった。もう撤退するしかニャいのか?みんながそう思った時、コータローがジャンプをした。その勢いで転がる。ノネコにぶつかる。イタチにぶつかる。イタチにぶつかる。デブ猫のローリングアタックは、かなり痛い!ノネコもイタチも、のびてしまった。フニャ〜。ふにゃ〜。ふにゃ〜。モノえもんを含む6匹は、その場にへたり込んだ。過去の夜回り1きつい戦闘だったニャ。ケガだらけニャ。そこへ、モリモリがやってきた。「お前達、大丈夫か?いや、大丈夫じゃなさそうだな。よし、動物ヨナを退治してくれたお礼に、おれが動く橋を漕いでやろう。誰が乗って行く?」もちろん、モノえもんが前足を挙げた。そして、モノえもんと相互子分関係になったベレトが前足を挙げる。

※以下、一部、「嘘がつける日」のネタバレも含みます。ご注意ください。 

ぼくら4匹はへばったままの姿勢で、きこきこと音がする動く橋を見送った。動く橋が時間をかけて、コータローの鈴により明るくなっている場所まで辿り着く。しばらくすると、パアアアアアッと明るさが増した。思わず、夜が明けたのかと勘違いするほどの強い光だった。ウイイイイイインという変な音がして、ちっちゃい魚がいるところから、何かが飛び上がった。やきそばだった。光り輝くやきそばだった。やきそばは、ふわふわとこちらに近づいてくる。岸に降り立つと、扉がゆっくりと開いた。モリモリとベレトが、ゆっくりと降りてくる。その後から、モノえもんが、大きな袋を抱えて降りてきた。「約束のうちゅ〜るにゃ〜。」ぼくらは、みんな立ち上がる。やはり、食べ物の力は偉大ニャ。「お前、やっぱりいい奴ニャー。『食べられないちゅ〜る』をついていたわけじゃニャかったんだニャ。」ぼくは、前回作られた猫語を使った。同じ集会メンバーだと、こんなこともできるから楽しいニャ。モノえもんはキョトンとして、「お前達は、そうな風に言うにゃ?ぼくは、『食べられないちゅ〜る』なんか言わないにゃ。」と言った。みんなで、うちゅ〜るに群がった。ひと口食べてみて、ぼくはあまり美味しくニャいと思ったが、ベレトとふわクンも同じ感想だったようだ。何とも言えない、珍妙な表情をしている。「こいつはうめぇにゃ!」「イケてるにゃ!」対して、ぐーすけぴーとコータローにはウケたらしい。それとも、デブ猫はニャンでもイケるニャ?「本当に、ありがとうにゃ。もう1つの約束通り、お前達の町は襲わないにゃ。さらばにゃ。」モノえもんは丸い手を振ると、やきそばに乗り込み、遥か上空へと去って行った。後日、ぼくはおうちのリビングでリサちゃんと、絵が動く箱を眺めていた。なんか歌が流れたと思ったら、赤い丸から線が出てくる。そして、さらに大きな丸が2つでき、さらにさらに大きな丸が1つでき、そこに動く橋のようなものが描かれた。ぼくはびっくりして、ピンと耳を立てる。最後には、青くて全てが丸い猫のような生き物が出来上がった。うーん、似てるニャ。(完)