「ごめんなさい。なんか深刻な話をしちゃって。」カンナが落ち込むと、かのこが「いいのよ。とても素敵な目的だわ。あなたのためにも、治験に参加して良かったと思えたわ。」と、なぐさめるように言った。それは自分も同じだというふうに、私も含めた他の人達が頷いた。それが終わりの合図となり、お茶会は解散した。寝る場所は大部屋の中のそれぞれ離れた場所に、カーテンで間仕切りされていた。慣れない環境であり、試薬を飲んだという興奮もあって、なかなか寝付けないと思っていたが、意外とすんなりと眠りに落ちた。「おい、瀬在さん。瀬在さん、起きてください。」目覚めたのは、司門の声によってだった。ああ、おはよう、もう朝ですかと私が言うと、司門は「それがですね。時計を見ると、もう13時なんですよ。」と言った。私がびっくりしながら仕切りカーテンから出ると、そこには司門、佐田ノ海、リエ、かのこがすでに起きていて、腕組みをして立っていた。「13時って、本当ですか?たしか、昨日の研究員の話では、7時頃に起こしに来るってことでしたよね。」私が誰に聞くでもなく話すと、佐田ノ海が引き取った。「そうでごわす。あの薬、睡眠薬でも混じっていたのでごわすか?」「あれ、カンナさんは?」ふと気付いて、私は尋ねた。4人は無言で、奥のまだ仕切りカーテンのしまっている場所を一斉に見た。なんで私を起こして、カンナさんを起こさないのか。不思議に思いながら、視線の先に向かって歩いて行くと、その理由はすぐに分かった。仕切りカーテンの内側から、いびきとは異なる変なうめき声が聞こえてくる。「この声、夜中にも聞いた気がするんですよね。」リエが後ろでつぶやいた。「何度、声をかけてもこんな感じなんです。開けてみますか?」司門がカーテンに手をかけると、「待って、やっぱり女性の私が。」とかのこが代わった。