『失敗の本質』というテーマについて、今までいろいろと書いて来ましたが詰まるところは戦略の存在そしてその優劣にあるのではないだろうか、と私は思っています。
『失敗の本質』と言う本が今も各界のリーダーなどに愛読されているのは戦略というものが多くの示唆を与えていることが、その理由だと考えています。
『失敗の本質』では、失敗の事例研究としてノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦の6つについて記されていますが、戦局の分岐点となったミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦においては米軍の成功と日本軍の失敗を分かつ重大なポイントとなったのは、不測の事態が発生したとき、それに瞬時に有効かつ適切に反応できたか否か、であったとしていることは戦略とは何かを示すものだと思います。
クラウゼヴィッツ(プロイセンの軍事学者)によれば「戦争とは、他の異なれる手段をもってする政治の延長」であり、リデル・ハート(イギリスの戦略思想家)は「戦略とは、政策上の目的を達成するために軍事的手段を分配し、運用する術」と言うとしているところを見れば武力戦だけではなく情報活動や交渉における優位な位置を占めるための事前工作などが挙げられますが、本質的には目的を達成するための知恵の運用が戦略だと私は思います。
戦略とは『失敗の本質』の著者の一人である野中郁次郎が言うところのフロネシスではないでしょうか。
フロネシスは賢慮、または実践的知恵と訳されていますが、野中郁次郎氏は両方の意味を込めて「実践知」とされています。
私が戦略ということに拘るのは何も戦争に関係しているからではなくて、現代の政治、経済その他の問題の解決にも深く関わっていることによるものです。
前のミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦といえば日本軍においてはミッドウェー作戦は海軍でありガダルカナル作戦においては陸軍ですが、不測の事態に対応出来なかったということは結局は日本軍に「実践知」が無かったということであり極論すれば不測の事態に対応する知恵がなかったということではないでしょうか。
では、その知恵はどうすれば身につけることができるのでしょう、次回はこの辺を考えます。