イノベーションというテーマで所得倍増論の理論的な裏付けとなった下村治氏の高度成長論について、取り上げることにしました。

高度経済成長がどうして出来たのか、を素人なりに、いろいろと調べてみますと民間の設備投資という考え方であり従来の需要面の増加を成長と捉えるのではなく、供給面から見たもので
民間の設備投資の重要性に着目した点で大きな特徴がありました。

それは新たな設備投資が、どの程度の生産量の増加につながるのかという捉え方であり設備投資が増えれば、それだけ経済成長も高くなると予測するものでした。
民間設備投資という発想は技術革新であるとともにイノベーションという考え方を中心に持ってくることで高い成長を可能とするものでした。

そこで1999年に刊行された「高度成長期の証言」から一部を引用・紹介いたします。

―― さっき話されたように、造船は赤字受注だし、時計も満足に輸出できない、そういう状況のなかで技術革新ができるという感じはどういうふうにつかまれたんですか。

下村 造船自体の動きのなかにすでにあらわれておったですね。
赤字からスタートして赤字なしの状態に変わったわけです。
船の輸出がふえたとき、これは赤字輸出だからそんなものはやがてだめになるといわれた。

しかしだめにならなかったんです。赤字輸出を黒字輸出にかえた。
それは日本の産業の適応力、バイタリティーなんです。
そのような形で日本の産業界はイノベーションの能力、適応力といっても、バイタリティーといっても同じですが、そういうものを強力にもっている。

それを具体化したものが設備投資という形で出ているわけです。
だから、たとえば自動車産業についても、今度は自動車が造船のあとを追っかけて輸出産業になるに違いないという話をしたことがある。
ぼくがまだ大蔵省にいたころです。私が思ったよりもたいへんなものになったようですが。


上記は
「高度成長期の証言」より引用いたしました。

需要と供給の関係では需要から見るというのが一般的ですが、日本経済が歴史的勃興期にあるとすれば供給面から見た生産力の増強、生産性の向上に見合った成長になるという捉え方こそ、ある意味イノベーションと言えるものではないでしょうか。

また日本産業のバイタリティーというものに対する的確な見方が民間設備投資という発想を中心とする高度成長論につながったものと思います。

今日は以上です。