問題解決の新たな手法としてのクラウドソーシングを形態別からコンテストに続いて、コラボレーション・コミュニティについてビジネス誌に掲載されたロンドン・ビジネス・スクール助教授ケビンJ.ブードロー氏、ハーバード・ビジネス・スクール準教授カリムR.ラカニー氏、高橋由香理氏訳の「クラウドはビジネス・パートナーである」を引用・紹介いたします。
以下、「クラウドはビジネス・パートナー」より
1998年6月、IBMはウェブ・サーバーのインフラの自社開発を打ち切り、代わりに、オンライン上に創設されたばかりのウェブマスターや技術者のコミュニティ、〈アパッチ〉に参加する意向を表明して世界のソフトウェア業界を驚かせた。
当時、〈アパッチ〉のコミュニティは、営利を目的とするどんなソフトウェアも遠く及ばない、フル装備の―しかも無償の―製品を素早く提供するため、全世界のメンバーからさまざまな協力を募っていた。
その2年後、IBMはオープン・ソースのOS(オペレーティング・システム)である〈リナックス〉を支援するために3年間で10億ドルを投じるとともに、広範囲にわたるソフトウェア製品を共同で開発するため、700人を超すエンジニアを投入して何百というオープン・ソース・コミュニティと協力していくと発表したのである。
コラボレーション・コミュニティとの提携を通じて、IBMは一石二鳥のメリットがあることに気がついた。
それは〈アパッチ〉のコミュニティは、このソフトウェアの欠点を知っているだけでなく、欠点を修正するスキルも備えたユーザーで構成されていることだった。
作業に従事する協力者は大勢いるが、一人ひとりはこのソフトウェアをめぐる自分独自の課題に勝手気ままに取り組み、他の部分については無頓着である。
それぞれが自分の課題を解決していくにつれて、そのソリューションがソフトウェアに組み込まれ、みるみる改良が進むのだ。
IBMの説明によると、ソフトウェア開発競争ではクラウドのほうが一枚上手であることから、そちらでは提携しつつ、それを補完するハードウェアやサービスなどでの強みを活かして利益を上げるほうが得策と判断したのである。
コンテストと同様、コラボレーション・コミュニティにも長く、豊かな歴史がある。
ベッセマー製鋼法(19世紀にイギリスで発明された銑鉄から鋼を大量生産する方法)、溶鉱炉、高圧式蒸気機関の開発や、絹製品の量産化では非常に重要な役割を果たしてきた。
しかし、コンテストが協力者の力を分散して実験の多様性を最大化しようとするのに対して、コラボレーション・コミュニティは何人もの協力者の成果物(アウトプット)を結集し、それを統合することで、全体として整合性をもって価値を生み出す構造になっている。
つまり、従来の企業とよく似ているのだ。
それに、コミュニティの場合も企業と同じように、まず最終形に何を組み込むかを見極め、そのうえで、テクノロジーとプロセスを組み合わせてそれを実現していかなければならない。
上記は「クラウドはビジネス・パートナー」より引用いたしました。
クラウドソーシングとして、コラボレーション・コミュニティはコンテストに比べ協力者が関心を持つ課題への取り組みを集約し全体として価値を生み出す仕組みが見られることから協力者それぞれの関心や課題への取り組みを如何に具体的な価値につなげ提供出来るか、を次回は見ていくことにします。
今日は以上です。
以下、「クラウドはビジネス・パートナー」より
1998年6月、IBMはウェブ・サーバーのインフラの自社開発を打ち切り、代わりに、オンライン上に創設されたばかりのウェブマスターや技術者のコミュニティ、〈アパッチ〉に参加する意向を表明して世界のソフトウェア業界を驚かせた。
当時、〈アパッチ〉のコミュニティは、営利を目的とするどんなソフトウェアも遠く及ばない、フル装備の―しかも無償の―製品を素早く提供するため、全世界のメンバーからさまざまな協力を募っていた。
その2年後、IBMはオープン・ソースのOS(オペレーティング・システム)である〈リナックス〉を支援するために3年間で10億ドルを投じるとともに、広範囲にわたるソフトウェア製品を共同で開発するため、700人を超すエンジニアを投入して何百というオープン・ソース・コミュニティと協力していくと発表したのである。
コラボレーション・コミュニティとの提携を通じて、IBMは一石二鳥のメリットがあることに気がついた。
それは〈アパッチ〉のコミュニティは、このソフトウェアの欠点を知っているだけでなく、欠点を修正するスキルも備えたユーザーで構成されていることだった。
作業に従事する協力者は大勢いるが、一人ひとりはこのソフトウェアをめぐる自分独自の課題に勝手気ままに取り組み、他の部分については無頓着である。
それぞれが自分の課題を解決していくにつれて、そのソリューションがソフトウェアに組み込まれ、みるみる改良が進むのだ。
IBMの説明によると、ソフトウェア開発競争ではクラウドのほうが一枚上手であることから、そちらでは提携しつつ、それを補完するハードウェアやサービスなどでの強みを活かして利益を上げるほうが得策と判断したのである。
コンテストと同様、コラボレーション・コミュニティにも長く、豊かな歴史がある。
ベッセマー製鋼法(19世紀にイギリスで発明された銑鉄から鋼を大量生産する方法)、溶鉱炉、高圧式蒸気機関の開発や、絹製品の量産化では非常に重要な役割を果たしてきた。
しかし、コンテストが協力者の力を分散して実験の多様性を最大化しようとするのに対して、コラボレーション・コミュニティは何人もの協力者の成果物(アウトプット)を結集し、それを統合することで、全体として整合性をもって価値を生み出す構造になっている。
つまり、従来の企業とよく似ているのだ。
それに、コミュニティの場合も企業と同じように、まず最終形に何を組み込むかを見極め、そのうえで、テクノロジーとプロセスを組み合わせてそれを実現していかなければならない。
上記は「クラウドはビジネス・パートナー」より引用いたしました。
クラウドソーシングとして、コラボレーション・コミュニティはコンテストに比べ協力者が関心を持つ課題への取り組みを集約し全体として価値を生み出す仕組みが見られることから協力者それぞれの関心や課題への取り組みを如何に具体的な価値につなげ提供出来るか、を次回は見ていくことにします。
今日は以上です。