外知恵というものを問題解決の新たな手法と考えるならクラウド(ネット上の不特定多数の人々)活用としてクラウド・ソーシングの形態のうちの一つであるコンテストの実施事例について、前回2月21日の続きでビジネス誌に掲載されたロンドン・ビジネス・スクール助教授ケビンJ.ブードロー氏、ハーバード・ビジネス・スクール準教授カリムR.ラカニー氏、高橋由香理氏訳の「クラウドはビジネス・パートナーである」を引用・紹介いたします。

以下、「クラウドはビジネス・パートナー」より

現在、トップコーダーやカグル、イノセンティブといったオンライン・プラットフォームが、クラウドのコンテスト運営サービスを提供している。
こうしたプラットフォームは会員の募集と維持、金銭の支払い、知的財産の全世界規模での保護・整理・移転を手がけている。

提出されたソリューションのうち、企業が最終的に利用するのは一件だけに絞られることになるにしても、応募された多数の提案を評価することで、どこに「技術的なフロンティア」があるかを見極めることができる。

とりわけ、そうしたソリューションがどこか一極に集中している場合はなおさらである(これと反対に、社内のR&Dから得られる情報量ははるかに少ない――しかも、これから先、さらに優れたソリューションが見つかるのではないかという疑念が、いつまでも消えない)。

コンテスト方式が最も威力を発揮するのは、問題が複雑ないしは目新しい場合や、問題に対処するためのベスト・プラクティスが確立されていない場合であることがわかっている。
これは特に、どのようなソリューションが適切かを事前に見通せない場合に当てはまる。

2012年秋には、製薬企業のメルクが予測分析のクラウドソーシング・サイトであるカグルと組んで、創薬プロセスの合理化を進めたばかりだ。

特定の疾患治療に効果を有する可能性がある化合物を特定する際は、標準的なプロセスでは、おびただしい数の化合物を試験しなければならない。
だが、考えられる疾患メカニズムのすべてを費用対効果が高い形で検証できる方法は存在しない。

そこで、メルクは賞金4万ドルを出し、8週間にわたるコンテストを開催した。
そのなかで、メルクはすでに試験済みの化合物に関するデータを開示し、今後、試験すべき最も有望な化合物を特定するように参加者に求めた。

このコンテストには238のチームが参加し、2500件をはるかに超える提案が寄せられた。
優勝したソリューションを提案したのは(生命科学ではなく)コンピュータ科学の専門家グループであり、それまでメルクにとっては未知の領域だった機械学習の手法を使っていた。
その成果は、『ニューヨーク・タイムズ』紙の一面を飾るほど目覚ましいものだった。
現在、メルクはこのソリューションを実行する段階に来ている。
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また、デザインをめぐる問題では創造性と主観がソリューションの評価に影響を与えるが、こうした問題を解決する際にもコンテストが有効である。

クラウドソーシングを活用して広告を制作しているトンガルは、消費財メーカーのキャンペーン向けに頻繁に提案を募集している。
2012年夏にはコルゲート・パルモリーブがトンガルのコミュニティと協力し、2カ月間にわたって賞金1万7000ドルのコンテストを実施した。


上記は
「クラウドはビジネス・パートナー」より引用いたしました。

企業においてクラウドソーシングのコンテスト活用例として専門的なケースのものかも知れませんが、コンテストというものを実施することで適切な解につながる提案が見つかる可能性が高いことを示しているようで科学技術的な問題やデザインなどについても有効なようで、その具体例について次回に続けます。

今日は以上です。