ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」からイノベーションについて企業家にとって“変化とイノベーション”ということを考える参考になれば、ということで紹介・引用いたします。

以下、ドラッカー「イノベーションと企業家精神」第2章イノベーションの機会より(一部抜粋)

技術史上、一九世紀における最大の偉業は、「発明」の発明であるといわれる。
一八八〇年以前においては、発明は神秘的なものであった。
一九世紀の文献は、天才のひらめきという言葉を頻繁に使っている。
しかし、第一次大戦が勃発した一九一四年頃、発明は、研究開発へと進化した。
研究開発とは、目的とする成果と、実現可能な成果について、確度の高い予測をもちつつ行われる。
計画され組織化された意識的かつ体系的な活動である。
いまやイノベーションについても、同様の進化が必要である。
いまや企業家は、体系的にイノベーションに取り組まなければならない。

企業家として成功するには、女神の口づけや、アイデアのひらめきを待っているわけにはいかない。
企業家たる者は、主体的に行動しなければならないからである。
しかも企業家たる者は、いわゆる大物を狙ったり、一〇億ドル・ビジネスをつくりあげようとしたり、成金となることを夢見たりしてはならない。
大成功間違いなしというようなアイデアをもとに、急いで事を起こした企業家は、ほとんど失敗を運命づけられたようなものである。
間違いを犯すに決まっている。

画期的とみられたイノベーションの多くは、単なる技術的な偉業にすぎず、マクドナルド・ハンバーガーのように、知的には特筆すべきところのないようなイノベーションが、高収益の大事業に発展する。
企業以外の事業、公的サービス機関におけるイノベーションについても、まったく同様である。

企業家が成功するには、その個人的な欲求が金であれ、力であれ、好奇心であれ、名誉であれ、あるいは世に認められることであれ、価値を創造し、社会に貢献しなければならない。
しかもその目ざす志は高くなければならない。
すでに存在するものの修正や改善で満足してはならないのである。
まったく新しい異質の価値や、欲求の充足を創造しなければならない。
単なる素材を資源に転換し、あるいはまったく新しい方法で既存の資源を組み合わせ、資源の生産性をあげていかなければならない。

そして、新しく異質のものを生み出す機会となるものが、変化である。
したがって体系的なイノベーションには、意識的かつ組織的な変化の探求が不可欠であり、経済的あるいは社会的なイノベーションの機会に対する体系的な分析が、必要欠くべからざるものとなる。

通常、それらの変化は、すでに生起しているか、進行中である。
成功したイノベーションの圧倒的多数は、変化を材料にしている。
もちろんイノベーションのなかには、それ自体が変化であるものもある。
ライト兄弟による飛行機の発明という壮大な技術的イノベーションが、その一例である。
しかしそれらは、むしろ例外である。

成功したイノベーションのほとんどは、きわめて平凡である。
それらは、変化を利用したにすぎない。
したがって、企業家精神の知的基盤ともいうべきイノベーションのノウハウは、変化にかかわるノウハウである。
すなわち、企業家に対して機会を提供する典型的な変化についての体系的な検討のノウハウである。
さらに具体的にいうならば、体系的なイノベーションとは、じつに、イノベーションの機会を七つの領域において探すことにほかならない。

上記はドラッカー「イノベーションと企業家精神」第2章イノベーションの機会より引用いたしました。

企業家にとって新しい異質のものを生み出す機会として変化に対する探求こそがイノベーションと位置づけているのは考えさせられるとともに企業家の存在価値というものが問われているということではないでしょうか。

今日は以上です。