今日は先週2月18日の日経新聞夕刊文化面から「遠みち 近みち」を紹介・引用いたします、日本の電機メーカーが元気だった頃の企業人の気概について参考になると思われます。
以下、「遠みち 近みち」より(特別編集委員 森一夫)
アニマルスピリット どこへ
日本の大手電機メーカーが総崩れの様相を呈している。
パナソニックのテレビ用プラズマパネルの最新鋭工場の操業停止は象徴的だ。
そのプラズマパネルを世界に先駆けて開発したのは、実は富士通である。
先日亡くなった同社元社長の山本卓真さんがまだ会長のとき、商品化できたプラズマパネルのディスプレーをながめながら、こんな話をしていた。
「これは自慢なんだ。
開発に30年かかった。
途中で本当にものになるのかと思ったよ。
でも開発をやめろとは言わなかった」。
普段は眼光鋭い山本さんが、にこにこしていかにも誇らしげに見えた。
自らも技術者として日の丸コンピューターの開発に携わった経験があるだけに、開発陣の苦労と喜びがよくわかるようだ。
新しい物を何としても造るという血気、いわゆるアニマルスピリットでは人後に落ちないひとでもあった。
山本さんの前任社長の小林大祐さんは、課長時代にコンピューターの開発を独断で始めた。
昔の富士通には、こうと思ったら何をしでかすかわからない人たちがいた。
ほかの会社も似たようなものだ。
あの元気だった電機メーカーは今どこに消えたのか。
有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の大型テレビの開発で韓国メーカーに先を越されるなど、精彩を欠いている。
組織が大きくなると、総じて能吏型の人材が重宝され、管理の徹底が図られる。
行き過ぎると、規格外の人間は脇に追いやられる。
独創的な人物は型破りな一面があるものだ。
そういう人たちと実際に仕事をしてきた山本さんは「ケチをつけるのは簡単だが、つぶしては駄目だ」と戒めていた。
「サラリーマンは何でもケチをつけておけば安全と考えて、すぐ欠点をあげつらう」
うっかりすると、上から下までお役人タイプになる。
簡単ではないが、冒険を称揚する風土の復活がまず必要だ。
上記は2月18日の日経新聞夕刊文化面「遠みち 近みち」から引用いたしました。
サラリーマンという立場と企業人という考え方には当然違いがあるものですが、現状に対して問題提起していく姿勢こそがアニマルスピリットの原点だと思います。
電機産業だけでなく生き残りを賭けたアニマルスピリットの復活を期待したいものですね。
今日は以上です。