一昨日10月31日の日経MJ「底流を読む」に東日本大震災と地域の食品スーパーについての記事が掲載されていました、消費者の価値観という視点から参考になると思い紹介・引用いたします。


以下、10月31日日経NJ「底流を読む」より


宮城県気仙沼市の食品スーパー、マルニの伊藤栄吾社長(40)に1カ月ほど前に会った。

「東日本大震災から半年以上たった今、どういった支援が被災地には必要ですか」という問いかけに、「本業を通じてのサポートをお願いしたい」と落ち着いた口調で答えた。

同時に食品を扱う企業として気仙沼港で水揚げされる魚種の変化を挙げ、「地域の食文化が消えてしまうのではないか」という不安を口にした。


同社は津波で本部が流され、スーパーは5店から3店、酒販店が8店から6店に、そしてラーメン店が3店から1店に減った。

伊藤社長自身も自宅を失った。

同業他社などの支援もあって8月に新本部が稼動し、「今後は内陸を中心に出店していきたい」と前向きだ。


伊藤社長の「本業を通じてのサポート」という言葉に重みを感じる。

「本業」とは食品スーパー本来のビジネスを指し、消費者は買い物を通じ、取引先のメーカー・卸は納品や販売促進を通じて支援してほしいということだと受け止めた。


水産などが盛んだった気仙沼や石巻などの被災地では関連産業の再生が進まず、雇用がままならない状況が続く。

「働く場所がない、どんよりとした不安」(伊藤社長)が人々の間では漂っている。


3月11日から学んだのは「絆」の大切さだったはずだ。

人と人とが支え合う力の尊さを痛感した一方、いとも簡単に絆やつながりが断ち切られてしまう切なさが身にしみた。

そして消費者に「普段の生活の便利さ」を気付かせ、「利己」中心だった消費の姿勢を「利他」にも振り向かせ始めた。


だが、福島第一原子力発電所の事故の影響による風評被害をみると、消費者の姿勢は再び利己主義に向いている気がする。

「応援消費」が震災直後叫ばれたが、最近は〝まだらな応援〟が垣間見える。


震災前と震災後、そして震災直後と現在、消費者の価値観は確実に変化している。

ただ、変わらないのは震災前の「普通」が本当に当たり前のことだったのかという疑問だ。

この価値観の変化の中で、消費者は企業の震災対応を静かに見ながら、自らが寄り添い続けるに値するブランドかどうか、商品やサービスを〝査定〟している。


セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は震災直後、「非常時に消費者をつかむカギは『自分たちの立場でモノを考えてくれる企業』と思われることだ」と言っていた。

マルニでは残った食品スーパー3店舗で一日も休まずに営業を続け、マンボウを食べる地元の食文化を消してはいけないと、八方手を尽くして静岡県の焼津港から取り寄せた。

企業規模は小さいが、こうした気概や精神は消費者に必ず伝わっているはずだ。

                             (消費産業部次長 白鳥和生)


上記は10月31日日経NJ「底流を読む」より引用いたしました。


地域の食品スーパーというものの位置づけと震災後消費者目線という査定に適う価値とは何か、を考えさせられます。

今日は以上です。