早いものですね、もうお正月も2日目ですから自分の目指すものをシッカリと定めていないと置いておかれる様な気になりますね。
そういうことで去年の年末30日に日経新聞に掲載された一目均衡というコラムを紹介したいと思います。
これからの時代を考える上で、この世界同時不況を乗り切る上で参考になり、多くの示唆を与えてくれる様に思います。
読まれた方もおられると思いますが新年にあたり気持ちを新たに読んでいただければ幸いです。
以下、コラム本文
一 目 均 衡 編集委員 梶原 誠
来年が東洋の丑(うし)年と聞けば、米ウォール街のほとんどの人は「市場にも早くブル(牛)が戻って来てほしい」と答えるだろう。
牛は強気を表す市場用語。
米株価は今年三割超下げ、喪失感が広がった。
ただし、ジム・チェイノス氏(51)は例外だ。「今年は大きくもうけた」と株安を余裕で受け止める。同氏は空売り専門のヘッジファンドを率いている。
市場での異名は「空売り王」。エンロンの絶頂期に不正会計に気付き、大量の空売りを出した。
その後の破綻にかけて巨額の利益を得たのは今も語り草だ。
同氏が運用する五十億㌦のファンドの運用利回りは、1―10月で53%に上ったと地元紙は報じている。
1929年、87年、そして今年。株価急落のたびに、空売りは批判の矢面に立った。
米議会や当局はその都度「空売り犯人説」を検証している。
だが、チェイノス氏が好成績を残した背景には、過去の検証が見過ごしてきた空売りの副産物も浮かぶ。
企業の主役交代を炙り出す機能だ。
放送、DVDレンタル、映画館チェーン。
同氏の空売りリストには、株価が今年7割も急落して運用成績に貢献した米大手企業が並んでいる。
売り始めたのは3年前。裏付けは一つの仮説だ。
「人は見たい映画だけを、好きな時間に、自宅で見るようになる」
インターネットの進展はビデオ・オン・デマンド(VOD)の普及を加速する。
映画会社は消費者に直接映画を売り、中間で潤ってきた企業は収益基盤を失う―
―チェイノス氏は、人々の生活が便利になる一方で、不要になる企業の株安を先取りしようとした。
空売り専門という立場上、同氏は淘汰される側に焦点を当てた。だが、そのために予測したのは、あくまで経済全体の進化だった。
3年前、仮説を顧客に説明した資料には「創造的破壊」と大書している。42年、資本主義が発展する過程を説明したシュンペーターの名言だ。
創造的破壊はイノベーション(革新)に注目する。
定義は「古きものを破壊し新しきものを創造して、たえず内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異」だ。
ネット革命は古い産業に退場を迫る一方、人々の生活水準を高めている。
企業の明暗を今後分けるのも、景気悪化という逆風に耐えて開発投資を続け、イノベーションを生み出すかどうかに違いない。
繊維革命を起こしたナイロンは、米デュポンが大恐慌のさなかでも投資を絶やさずに商品化にこぎ着けた。
そして投資家。
成功の条件はまずイノベーションの芽を見つけること、次に市場が気付くまで我慢することだ。
「仮説はゆっくりと実現に向っている。もともと、すぐにもうかるとは思っていない」。
チェイノス氏は、今もこう語る。
牛の歩みも千里。
今こそ光る日本のことわざだ。遅くても着実に進むことの重要さを、企業にも投資家にも教えてくれる。
以上です。