先週16日に小阪裕司の感性マーケティング「多彩な感性情報で動機づける」の続きを翌日、更新する予定でしたが米国と日本の市場連鎖安で予定を変更させていただきましたので改めて、商工にっぽんに掲載された記事の続きを紹介いたします。


以下、本文


BGMひとつが人の行動を左右する


感性に訴える情報はほかにもある。身近な例では服のデザインや車のフォルムなどの造形情報や、色彩や絵、画像などのイメージ情報も人の感性に訴える情報である。

これらは視覚によってキャッチされる情報だが、感性情報には、聴覚を刺激する情報もある。たとえば店舗のBGMに代表される音響情報がそうだ。


今私は、さまざまなレストランで感性工学的仮説に基づく実験を行っている。

その中でBGMの実験を行ったことがある。近年のカフェ文化の草分けとして知られ、BGMに対する関心の高い渋谷のカフェの協力を得て行わせていただいた。


実験には定休日を利用した。「お店の料理や雰囲気についてのモニター調査」という名目で来店してもらい、食事中に流すBGMを変えると来店客にはどんな影響があるかを比較調査したのだ。


第一のグループではボサノバやサロン・ジャズなど普段この店でかけている音楽を流し、第二のグループでは90年代のノリのいいJポップを流した。

すると興味深いことに、同じ店内で同じテーブルを使い、同じ料理を同じサービスで楽しんでもらったにもかかわらず、両者には明確な違いが見られた。


まず、お客さん同士の話し声である。ボサノバを流したグループでは、カップル客も女性客も低いトーンの小声で会話した。

一方、Jポップを流したグループではどの席も会話が弾み、店全体がガヤガヤした雰囲気になった。


アンケート結果にも大きな違いが生じた。


たとえば「次にこの店を利用するとしたら、誰とどんなときに利用したいか」の問いには、ボサノバのグループでは大部分が「二人でじっくり話したいとき」に訪れたいと答え、Jポップのグループでは「周りが気にならない」から「友達とワイワイやりたいとき」に訪れたいと答えている。


このように、BGMひとつ取っても人の気持ちを左右することがおわかりいただけよう。そしてその影響が、購入などの意思決定や顧客満足、リピート、口コミなどさまざまなお客さんの行動を左右するのである。


お客さんは大量かつ多彩な情報を処理している


いまや、五感を通じて入ってくる情報すべてが感性に訴える情報であり、お客さんはわれわれの想像以上に大量かつ多彩な情報を処理している。


みなさんのビジネス現場でも、さまざまな情報がお客さんや訪問者の感性に働きかけている。あなたが意識していようといまいと、これは動かしがたい事実である。


接客態度、照明の具合、パンフレットの作り方など、あらゆるファクターがお客さんの感性に影響を与える。

お客さんはそれらを通じて「いい店だな」「二度と来るものか」「いい取引先とつきあいができた」「また必ず利用しよう」などと判断している。


これからの時代、人の感性に訴える情報を知り、配慮することは、ビジネスにおいて不可欠なものになっているのである。



以上です。