昨日の日経朝刊のけいざい解読というコラムで今回の米金融安定化法案に関して、ごく普通の人間の感覚から見た参考になる記事がありましたので紹介させていただきます

金融と日常生活の関係というのは今後のキーポイントになると思います。


以下、本文


けいざい解読           編集委員  菅野 幹雄


米下院が金融安定化法案を否決し、ニューヨークの株式市場が史上最大の下落を記録した先月二十九日。米三大ネットワークの番組でコメンテーターが訴えていた。


「きょう一日の株安だけで、老後に備えた401K年金は大きく目減りした。皆さんには関係ないというのは間違った考え方だ」。


銀行の貸し渋りが経済にどう波及するか、アニメも使って丹念に説明していたのが興味深かった。


「税金でウォール街を救うのか」という地元市民の根強い批判を議員は意識せざるを得ず、議会幹部による賛成の呼びかけにも大量の造反が出た。

「選挙を意識した政治の大衆迎合主義(ポピュリズム)が政策を阻害する。この点で日本とかなりの共通点が出てきた」と、元金融担当相の竹中平蔵日本経済研究センター特別顧問はみる。


再挑戦でなんとか下院を通った安定化法案の修正案には、預金の保護拡大や減税策という「甘味料」(英紙)も入った。大幅に拡大した政策メニューに、事態打開を目指す米政府や議会関係者の苦心がにじむ。


金融システムで起きた危機に対処しようといくら大胆な政策を用意しても“民意”を説得できなければ絵に描いたもちに終わる。困難は十年以上前の日本でも生じた。

中略

金融不安といっても、一般の市民にとってはなかなか理解できない。多くの人にとって、危機の発生がたちどころに日常生活を脅かすわけではないからだ。

金融機関や証券会社の「救済」といえば、むしろ高給の経営者を救う印象だ。


ところが銀行などの金融機関がもつ「信用創造」の機能がマヒすると、実体経済に及ぼす影響は非常に大きい。信用創造とは銀行が預金の一部を企業などに貸し、その企業が再び預金するのを繰り返して、循環するお金が増えていくこと。


金融危機で銀行が融資を渋れば、経済を循環するお金は逆に細る。血の巡りが悪ければ企業の活動も鈍り、経済も調子が悪くなる。

中略

安定化法案が成立しても「いずれ第二弾として公的資金注入というステップが必要になるだろう」(翁百合・日本総合研究所理事)というのが、多くの専門家の見方だ。


不良資産の買い取り策でここまで混乱したのだから、銀行に対する税金投入を説得するのは至難の業だろう。

不調に終われば、世界全体に危機の余波が広がりかねない。米国の民意は引き続き大きな「責任」を背負っている。


以上です。


公的資金導入の日本の経緯は9月18日のブログ を参照して下さい。