今日はオラクルひと・しくみ研究所代表の小阪裕司氏が商工にっぽんに掲載中の「小阪裕司の感性マーケティング」を紹介したいと思います。
以下、本文
発売10年後に売れ行きが急増した便秘薬
「ウィズワン」という便秘薬がある。食物繊維を豊富に含み、腸が刺激されて自然な排便を促す。この効果が支持を受け、年間15億円を売り上げるヒット商品となっている。
しかし最初からこんなに売れていたわけではない。ウィズワンはぱっとしない商品だった。1988年に発売されて以来、売上額は3億円で止まり、大手製薬メーカーの便秘薬としては下位に甘んじていたのだ。不発商品だと誰もが思っていた。
そんな状態が10年以上も続いた後、突然に売れ行きが急増した。ある地域では業界トップ商品を抜き、売上ランキング1位に躍り出た。
しかしこのとき、商品に手を加えたわけではなかった。成分・ネーミング・価格・パッケージは以前と同じ。大規模なCM展開もしていない。
それが発売後10年を経てヒット商品に生まれ変わり、市場に確固たる地位を築いたのである。
当時、製造元のゼリア新薬工業では新しい取り組みを始めていた。大幅な拡販に成功したのはその結果である。売上額はかっての5倍以上。彼らは一体どんなことを考え、何をやったのだろうか。
異常な伸びを示す日本酒
もうひとつ別の例を紹介しよう。
ある酒販店が年末年始用の日本酒を取り扱っている。毎年3ケース(18本)を仕入れていたが完売できなかった商品だった。ところが数年前に異変が起きた。
予約本数がいきなり600本に激増したのだ。実に前年の約30倍である。販売実績はそれから年々増えていき、現在は1200本を売っている。
同じ時期、他の取扱店でこうした変化は見られなかった。つまり全国的なヒットではないということだ。この店だけが異常値といえる伸びを示した。そして今も同様だ。
実は、ここの経営者も先の便秘薬と同じことを行っている。規模は違えど、同じ考え方に立ってビジネスに取り組んだ。その結果、ほとんど売れなかった商品を売れ筋に育てることに成功したのである。
さらには、彼に触発された別の酒販店が同様の取り組みを始めてみた。先の酒販店が行ったことを参考にしながら、自分なりのアレンジを加えてやってみたのだ。
すると、ここでも同じことが起きた。やはり例年3ケースしか売れなかった銘柄が、その年は前年の約10倍、170本も売れたのである。
明日に続けます。