ネットを見ていて久しぶりに懐かしい名前を見つけました。
田中秀征って、そうですね、もうかなり以前になりますので一定年齢以上の方でないとご存知ないと思いますが、細川政権では特別補佐官として知恵袋とも言われ、実際に期待以上の活躍をしました。
私も好きな政治家の一人でしたが、いかんせん選挙に弱かった。
いわゆる学者タイプで人気取りのためのパフォーマンスとは正反対で華がないという点が選挙では致命的であったのが残念で、ついに政界から引退しましたが本当に惜しい人物であり、もし今、政治家として健在でありせばという思いを禁じ得ません。
その田中秀征氏が大学教授としてコラムに健筆を奮っているのを発見し、今日はぜひ、その一つを紹介させていただきたいと思います。
田中秀征の一言啓上
(このコラムは1月17日に書かれたものです)
株価暴落は改革の停滞が一因
年頭の日本経済は暴風雨にさらされている。
年明けの株式市場は暴落で始まった。その後、歯止めがかからないどころか、15日には、2年2カ月ぶりに日経平均株価が1万4000円を割り込んだ。そして16日には、前日比468円12銭安の1万3504円51銭安で引けた。
昨年末のアナリストたちの予測では、1万4000円が今年の底値のはずであった。これでは、今年の底値はいくらなのか、そしていつなのか、反転するのか、と投資家の疑いや不安は募るばかりである。
加えて、円高水準は2年7カ月ぶりの高水準となり、この傾向も変化の兆しがない。
景気の悪化は、例のサブプライムローン問題、米国景気の後退、原油高、住宅投資の低迷など複合的だと言われる。しかし、これだけでは、円や日本株の株価の変動が他国と比べて大きいこと、速いことは説明できない。
国内投資家が外国株に向かい、外国人投資家が撤退しているとしたら、世界経済に共通の要因とは別に、日本固有の要因もあるとみなければならない。
サブプライムローン問題は、さらに深刻化する可能性がある
経済界の指導者たちが、年頭の経済3団体の祝賀パーティで明らかにした今年の経済の見通しは不思議なほど一致していた。
「前半は横ばいで後半は上昇」というのである。私は“願望”を含んだ見通しと受け取った。
経済界が後半を楽観するのは、夏にはサブプライムローン問題にメドがつき、アメリカの景気も持ち直すことを期待しているのだろう。それに国内の住宅投資の落ち込みも、今年中に収まり、逆に反動が来て盛り上がると観測しているのだ。
米国経済と中国経済に対する見通しも甘いのではないか。
15日、米国金融大手のシティグループが、昨年10月~12月期の決算を発表。サブプライムローンの焦げ付きによる証券化商品の評価損などに関連する追加損失が、約2兆4000億円に拡大したことが明らかになった。
米国景気が劇的に急回復すれば別だが、このままではサブプライムローン問題はより深刻化することも考えられる。
オリンピック後の中国景気は、オリンピック前とは変わる
世界経済のもう一つの機関車である中国経済も楽観できない。夏の北京オリンピックまでは全力で走るが、オリンピックが終われば同じ調子では走らなくなる。大事業を成し遂げた後の虚脱感もある。
明確な目標を持たずに同じ速度で走り続けることは難しい。
日本も1964年の東京オリンピックの翌年に昭和40年不況に襲われた。日本がそれを乗り切ることができたのは、直後の3C(クーラー、カー、カラーテレビ)の一大消費ブームの到来があったからだ。
それに伴う技術革新、大型設備投資も日本経済を新たなステージに持ち上げた。
オリンピック後の中国経済に、当時のような好条件はあるか。いたずらに悲観視する必要はないが、中長期で観るときは慎重であるほうが間違いはない。
年金・薬害肝炎問題は後手の対応、予算編成は昔戻り
私は、内外の投資家が「改革を忘れた日本」に嫌や気がさしているように思われる。
昨年末、内閣支持率の低迷は、株式市場の低迷と連動しているかのようである。
朝日新聞(1月13日付)の調査では、補給支援特措法成立直後の内閣支持率は34%と低迷している。
薬害肝炎問題への福田首相の対応を71%の人が「評価する」と答えたにもかかわらず、それが内閣支持率につながっていないように見える。もしも、首相の英断がなければ、支持率は20%台に落ち込んでいたと考えることができよう。
年金問題についても、薬害肝炎問題についても、首相の対応はいまだ後始末の域を出ていない。「再発防止のための大改革」が始まらなければ世論は納得しないのだ。不祥事が起きるたびに謝罪して税金を使うというのでは納税者はたまらない。
最近は改革に不熱心であるばかりか、予算編成過程を見ると、昔に戻りつつあるような印象さえ受ける。これでは投資家が日本経済に魅力を感じなくなるのも当然だ。