「ネットの向こう側」の知識コミュニティで知識コミュニティ仲介業の事例を見てきましたが、今日はオープンイノベーションを戦略として組み込み、成果を上げているケースを紹介します。
引用は野村総研(NRI)の知的資産創造からです。
1、P&Gのコネクト・アンドディベロップ戦略
P&Gは、世界160ヵ国以上の消費者に日用消費財を届ける世界最大メーカーであり、売上高10億ドルを超える22のブランドを含め、合計300ブランドを有する。
2006年の純売上高は682億ドルに達し、5年連続で目標どおりかそれを上回る成長率を達成しているが、この成長は2000年にCEOに就任したアラン・G・ラフリー氏の戦略によるところが大きい。
ラフリー氏は、就任当時、自社の研究開発投資を増やしても成長目的を達成するのは困難と判断、ビジネスモデルの刷新を決めた。
ラフリー氏は、過去、社内で組織の壁を越えたり、社外と協業したりして成功した事例を学び、「新商品のうち、自社の研究開発部門を活用するものが50%、社外を活用するものが50%」という目標を掲げた。
現在、社外を活用した新商品の割合が35%に達しており、その数は2年間で100品目を超えると発表されている。
そのうちの一つ、表面に食用インクで絵や文書が印刷されたポテトチップス「プリングルズ・プリンツ」のケースでは、P&Gで解けなかった食用インクによる印刷技術の解決策を広く社外に求めたところ、インターネット経由でイタリアのボローニャの大学教授を探すことに成功した。
その結果、アイデアから商品の市場投入までを通常の半分の1年で実現することができた。
P&Gの試算によれば、「社内の研究開発スタッフ7500人と同等の能力を有する人材が世界に150万人存在する」という。 コネクト・アンド・ディベロップ戦略の理論的背景となったのは、この試算だと思われる。
2、ゴール=社内+社外
P&Gの成功例から、同社のオープンイノベーション戦略の特徴を整理してみる。
一つは、消費者ニーズに合致する商品開発というゴールが最初にあるということである。 「自社だけで短期間で到達できるか」「人材を手当てできている領域か」「人材の手当てにかける時間とコストが妥当か」「将来横展開しうる領域か」などから総合的に評価し、自社で解くべき課題か否かを判断する。
社内の知識と社外の知識を融合させれば、偶然何かが生まれるかもしれないと期待するアプローチではなく、ゴールを定めて社内と社外の知識を融合させている。
それは、新技術がもたらす全く新しい商品という特大ホームラン型のイノベーションではなく、市場ニーズに即応できるヒット型のイノベーションを生み出す手法と考えられる。
もう一つは、自社で解けない課題が明確になった場合、特に優先順位をつけずに、さまざまなネットワークを活用して、社外の知識の探索を開始していることである。
そのなかでは、仲介業を通じた知識コミュニティの活用も、効果的な選択肢の一つになってきていると考えられる。
以上
今日はここまでです。