ようやく生活が落ち着いてきまして…お試し暮らし体験記を再開させようと思っていましたが、その前に。

 

先日『ツレがうつになりまして』を見て、うつ病に対する偏見のことを書きました。

 

 

 

うつについて考え記事を書く中で、あるいは、私が対人援助に携わってきた中で、

私たちが「うつ」と隣り合わせに在るということや、

うつ病やうつ病の家族がいる人の苦労を改めて想い、

(再開の前に)うつについて考えていることを二つ、三つほど書いておきたいと思います。


 

まずうつ病は(ツレがそうだったように)疲労感が取れなかったり、

不眠や食欲不振などの身体の症状が現れることで、

日常生活に支障をきたす精神疾患・気分障害と言われています。

当然、精神の症状もあり、無力感や自責の念を抱いたり、

何をしても楽しくないなどと感じたり、「死にたい」という気持ちを抱くこともあるものです。

日本は自殺が多い国であることは多く知られていることと思いますが、

自殺をした人の半分以上がうつ病である報告などもあります。


 

そうした深刻な側面のあるうつ病ですが、身体的な症状が出るとは言え、

包帯が巻かれるかのような目に見える症状とは異なるため、

周りも本人も気づくのが難しかったりするのも特徴です。

そのため、しんどさを実感しながらもがんばり続けてしまうなどして(頭の中で考え続けることなどを含め)、

身体が動かなくなったり、脳がうまく機能しなくなったりする状態がうつ病であり、

うつ病の回復・治療には心身の休養が何よりも大事であると言われるのはそうしたことからと考えられます。

『ツレ~」でも「最高の治療は休むこと」と言われる場面があったと思いますが、

『家族が「うつ」になって不安なときに読む本』でも

「疲労困憊の人」がうつになっているケースが多いとあり、

「回復までの期間が長い」ということが書かれています。

そうした報告は多くの論文で指摘されていることでもあります。

 

 

 

一方で、うつ病になると「できていたこと」ができなくなったり、

社会から取り残されてしまったかのように感じられ、

焦りや不安が生じることから「休む」こと自体がとても難しいこととなると考えられます。

そもそもうつ病になっていなくても、

私たち(日本人)は「休む」ことが苦手ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

有給休暇なのになぜか罪悪感を抱いてしまったり、

休むことを「怠けている」と思ってしまったり、

休んでいる間に誰かに追い越されると思ってしまったり…そういう経験がある人は多いはずです。

 

子どもたちに関しては学校を「休む」のは「体調不良」以外は許されていないかのような状況のため、

「休む」=「悪いこと」かのように位置づけられて育っていきます。

当然、大人である私たちはそれで育ってきました。

社会システム自体も、休まずに努力することで「成功」を得る、

「成功」を得れば豊かに生きていけるといった歪んだシステムとなっているため、

「休む」ことが上手ではない方が(残念ながら)この社会では「ふつう」なのかもしれません。

先ほど書いたように、うつ病は身体の病気と異なり症状が目に見えにくいこともあって、

そうした社会の価値観が強化された目線

―「怠けてるだけだ」とか「甘えている」とか「弱い人がなるものだ」とか―

を浴びせられる可能性が高く、

仮にその目線を浴びていなくても本人がそう強く感じてしまうこともあると考えられます。

その中で「休む」ことがどれほど大変かは容易に想像がつくでしょう。

 

うつ病の治療がしっかりされることは重要ですが、

私たちはこうした社会に生きているという自覚をする必要があると私は考えています。

年末の忙しい時期になってきたことや、

コロナの第8波とインフルエンザの流行が懸念され、窮屈な生活となっていることなどから、

私たちは「疲れ」を感じているはずです。

私を含め、「休む」ことを求めていることでしょう。

まずはそのことを自覚することが大切と思います。

そうした状態で、物価高をはじめ生活が苦しくなっていることや、

過去最多の税収と発表されたように政治は国民を助けることなく腐敗の道を辿る一方であることなどなどから、

私たちは社会につぶされかけている状況であるとも言えます。

このことにも気付かないと本当につぶされると思います。

つぶれて(そのひとつがたとえばうつ病だとして)から立ち上がるまでには、

かなりの時間とエネルギーとが必要です。

脳が動かなくなっていたり、逆に思考が止まらなくなってしまったり、

「できていたこと」ができなくなったりするといった状態から、あるいはその状態のまま

立ち向かっていくことはできなくはないかもしれませんが、間違いなく大変なことです。

つぶされる前に(もはやつぶされていますが)つぶされ切る前に、

声を上げて社会を変えていく必要があるとやはり思います。

このことに気づく元気な人たちが少しでも増えることが大事です。

厳しいことを言いますが、自戒を込めて、傍観者が社会を悪化させていくのだと思います。

日本国民全員ー一部の「成功者」を除いてーがうつに陥ってしまわない前に、

抵抗の意思を明確に示していたいとそう思います。