父が幼児教育の仕事を始めたのは、49歳の時でした。
それまで父は、英語塾で生計を立て、私たち子どもを養ってくれていました。
英語塾は夕方からの仕事で、日中は時間がたっぷりあったので、その時間を使って、郷土史研究家としての別の顔を持っていたのです。
その集大成の一つが、この『江津人物伝』という本です。
江戸時代から、明治・大正・昭和にかけて、江津で活躍した方々について、車のない父は、タクシーを借り切って、地元のお年寄りの家を訪ねては、話を聞きとるとiいう活動をしていました。
その活動の中で、石見の左甚五郎と言われる根付彫刻家、清水巌(いわお)が当地にいたことを知り、それが高じて、後に蒐集家になったようです。
先日、ある会社の社長さんから、その方のお父さんのことが書いてあるので、その本が是非欲しいというリクエストをいただきました。
今日、父の遺した蔵書の中に2~3冊はあるものと思って母に聞いてみると、その本は既に1冊も手元に無いことがわかりました。
発刊になった昭和48年当時、2000冊作られたそうですが、地元の皆さんの先祖に当たる方が出ているので、結構人気で売れてしまい、父も1冊持っていたらしいのですが、その本も、ある時、どうしても欲しいといわれる方にあげてしまったそうなのです。
ということで、地元の図書館で借りてきたのですが、私はこの本を見たのは初めてのことでした。
「七田眞記念館」には、父の生涯の著作物などを展示しているのですが、この本はありません。
図書館に寄贈していたからこそ、私も今日、中を見ることができたのですが、40年前に出版されている稀少本をいつでも見ることができる図書館って、有難いなぁとつくづく思いました。
但し、特別な貸し出し用紙に記入して、貸していただいたのですが。
本日は、これにて失礼いたします。
ありがとうございました。