アニメ TARI TARI から感じるアニメーションの魅力 | アラサー、サッカー、オタク。

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どうか皆さん、温かい目でご覧下さい。

遅まきながら2012年に放映されたアニメ TARI TARIを見終わりました。

魅力的なキャラクターの描かれ方がとても、とても良かったから、何度も涙を流しながら
アニメを観終わりました。

またきっと見直したい作品だけど、今は見終わったそのままの感想を整理して
みたいと思います。
※多分にネタバレを含むので、今後ご覧になりたい方は読まない方が良いかもしれません。

僕自身、人の心の動きを中心に描くアニメを見るようになって久しいです。
それは、アニメは人がつくっていて、アニメをつくった、かかった人の感情や
体温が伝わるような作品に触れたいと思うからです。

TARI TARIで言えば、歌、に様々なものが込められていて、そこから広がっていく
アニメの世界観は人間の温かさに満ちていて、見ている人の心を優しくしてくれる
気がします。

簡単に作品の紹介をすると、物語の大きな流れは、和奏ちゃんが自分の過去と向き合い、
友人たちに支えられながら、お母さんとの約束である歌をつくる、というものなので
しょう。
しかし、それだけでは語れないのが、作品の魅力でしょう。
和奏ちゃんの物語に周囲の人たちの喜怒哀楽に満ちた物語が重なることで、とても
魅力的なアニメーションになっています。

青春学園もので、現実にある地域を描いて、最後には廃校という危機を乗り越えようとする。
要素だけを見ていると、他の作品でも描かれているようなものは確かにあります。

ただ、TARI TARIはキャラクターの描き方がうまく、キャラクターの心情に寄り添う事が
出来るような工夫に満ちているのが素晴らしかったように思います。
作品は要素で決まるのではなく、作品の見せ方、キャラクターの動かし方でこんなにも
人の心に届く作品になるのだと感じています。

例えば、序盤の山場である和奏ちゃんが歌と決別しようとして、お母さんとの思い出の
ピアノを家から処分しようとする場面。
作品の中では、和奏ちゃん以外のキャラクターたちは合唱部ときどきバドミントン部を
つくり、歌に対する気持ちが高まっています。その高まりに反比例するように、和奏
ちゃんは歌に対して冷めていきます。

冷めていくのがわかる理由として、彼女の置かれている環境と、性格の両面からしっかりと
作品の中で描いてくれていた事が、この作品の良さそのものであるように思います。

彼女の環境の話からすると、もともと音楽科から普通科に転科をしてまで、音楽と
距離を置こうとしていた和奏が、友人からの些細な依頼がきっかけだったとはいえ、
また音楽に関わる生活になろうとしていた事に、違和感を強く持っていたのもわかります。

性格でいえば、短いシーンでもお母さんとの回想シーンを織り交ぜる中で、自由奔放な
お母さんと真面目な和奏の対比がよく描かれます。お父さんとも、と言い換えてもよい
かもしれませんが、キャラクターの性格を描くのに、わかりやすい対比やさりげない言動を
利用されています。

最後は娘の行動を理解していたお父さんがピアノを処分したつもり、にさせていただけ
だったのですが、和奏ちゃんが歌に、お母さんにもう一度寄り添おうとしたという感動と、
普段はマイペースなお父さんがきちんと娘の事を想ってくれていたのだ、という事がわかる
感動が押し寄せる、すごく素敵なシーンです。

何気なく見ていても、あぁ、この子ならこういうだろうな、この後こうするんじゃないかな、
やっぱりか、だよね、そうだよね。そんなシーンが回を重ねる毎にあるんです。
それは間違いなく、キャラクターの個性が伝わる描かれ方をし、作り手の意図に見ている側が
上手く共感出来ているという証拠でしょう。

アニメはキャラクターの言動に寄り添えるかどうか、で面白さが決まる。
より多くの人に見てもらおうと、キャラクターに共感できる要素を作品の中にちりばめる。

実写よりも映像の自由度が高くて、現実とは異なる世界観を描きやすいからこそ、
作品の中に確かな共感できる要素をしっかりと持っておかなければならないんだと
つくづく感じます。

アニメを観た人の心が温かくなり、明日も頑張ろうと思えるようなTARI TARIという作品に
出会えて本当によかったです。
今度はコメンタリーを見直したりして、もう少し深く作品に触れたいと思います。