先日ヤフーニュースで見た、病理検査の検体取り違えによる誤診断・不適切な手術。ちょっと検索すると同じような過去のニュースもいくつか見つかると思います。
病理検査とはどういうものかわかりやすく言うと・・・例えば、どこかにしこりがあってほかの検査でガンかどうか怪しいとなった場合。怪しいところをちょっと取って、詳しく見てくれる部署に送り、顕微鏡などで確認してもらうというものです。
それの結果によって、手術してとった方がいいのかどうか、さらにはどのくらいとらなければいけないのかが決められることになります。
結果によって治療方針が左右されてしまうため、間違いは起きてはいけません。
しかし、「必要な部分を取る」ことから最終的に「結果が報告される」までの間には(意外かもしれませんが)たくさんのプロセスと人が関与していて、エラーの起こりうるポイントも多くあります。
さて、実際にどのくらい検査室で患者さんの名前間違いが起きているか、アメリカで調べた文献を紹介します。
"Identification errors involving clinical laboratories"
( Valenstein PN, et al, Arch Pathol Lab Med. 2006 Aug;130(8):1106-13.)
主にアメリカの120施設の検査部で患者さんの名前違いがおきた数を調べたものです。
結果は、5週間でなんと6705件!
ほとんど(8割以上)は検査結果が確定する前に間違いが見つかり、残りは結果の確定後に発覚した、とのこと。理由としては、半数以上が初めに貼ったラベルの間違いと考えられたそうです。幸いにもそれによって亡くなってしまったような患者さんはいなかったとのことです。
つまりは、間違いはすごく頻繁に起きるけど、ほとんどはどこかしらで防御機能が働いている、とも言えます。この文献では詳しいエラーの分析やどこで防御機能の分析までは書かれていませんでしたが。
人間のすることですから、必ず間違いはおきます。
例えば、ラベルの貼り間違えを減らすことはできてもなくすことは絶対にできません。間違いを0にすることは絶対にできないので、最終的にどこかでその間違いが食い止められるようなシステムをつくることを考えなければいけないわけです。
「なぜ間違えてしまったか」という個人のエラーよりも、「なぜ今までは間違いが起きてもどこかの段階で間違いが見つかっていたのに、なぜ今回はそれが働かなかったか」というシステム全体としてのエラーを考える目線が必要だと思います。
どうか、同じことが二度と起きませんように。