木々の葉っぱが色づき、ひらひらりと地面に落ちています。
そんな葉っぱの一枚が、ぴたり、と朱子の頭に着地しました。
丁度、絵本で見た昔話のタヌキやキツネが変身するときの格好とそっくりです。
「むー!」
さっそく、豆蔵が朱子の真似をしようとしました。
しかし、ひらひらと落ちて来る葉っぱをぴったり頭の上に着地させるのは、難しいようです。
しゅたっ、しゅたっ、とあっちこっちに飛び跳ねるのですが、葉っぱは豆蔵をひらりと避けて、ぴたっと地面に落ちてしまいます。
それでも、簡単に諦める豆蔵ではありません。
「むっ! むっ! むーっ!」
しゅぱっ、しゅぱっ、しゅぱっ!
ひら、ひら、ひらりーん……。
「お姫さーん、豆蔵ぉー、おやつやで~:
「むー!」
「あ! 豆蔵、まって」
あらあら。
すてきな格好も、おいしいおやつにはかなわなかったようです。
でも、その時初めて豆蔵の頭の上に『ぺたっ』と葉っぱが着地しました。
夜叉丸に教えられて、豆蔵と朱子が頭の上の葉っぱに気が付くまで、あと少し。
《終わり》
秋遊び