RPT-9 映画「この世界の片隅に」を観て。この日々のどこかに喜びを見つけたい。 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

すずちゃんが何か言っています

クリックするとわかりますよ

 

アニメ映画『この世界の片隅に』を観ました。クラウドファンディングで支援金を募りパイロット版を制作、草の根で劇場公開に至ったという話を知り、首を長くして奈良で公開される日を待っていました。クラウドファンディングの恩恵を受け、コンサートを5月6日に開く身の上の私としては、どのような映画なのかを確かめたかったから。

 

映画が始まると、スクリーンには昭和ヒトケタの広島の情景が写し出される。丁寧に丁寧に、あたたかい色彩で描かれた人間の街。慎ましく生きる人々、町の喧騒と人々の往来。瞬時にして私は、主人公すずさんが住む広島へ降り立ったかのだった。なんて美しいんだろう、ポロポロと頬が熱かった。

 

手作りのものというのは、どうやっても見る者に肌感覚の温さを伝えるんだな。この映画に注ぐ愛情とか、登場人物への優しい眼差し、そして土地への想い。それらを時代を超えて繋いでいきたいという願いが、人の手を重ねて作ったからこそ生まれるだろう確かな温度で伝わってくる。泣けるのは、そこ。泣かせるための映画ではなく、「ありったけの愛情を注いでみたい」という真心が溢れてる。

といっても、映画の導入部では「すずさん、ときどき頭が大きく描かれ過ぎてる、バランス悪いな。」なんて、冷めた目で観ていた私でありましたが…。やがて、のめり込んでた。

 

お話の舞台は戦争の影が色濃い広島、そして呉。どちらも激しい戦火を経験した土地。主人公のすずさんは、広島で生まれ育ち、18歳で呉へ嫁ぐ。よく知らない人に見初められ、初めての土地に嫁として旅立つ。なんて不安なんだろう、たった18歳で…そんな想いをすずさんは持ち前の天然っぷりで笑ってみせる。

 

すずさんは絵を描くのが得意。そこが彼女の強さなんだろな。

鉛筆を手に日常をスケッチする。すずさんの視線は多角的で、美しいものを発見するのが得意だ。私も絵を描くけれど、すずさんほど好きじゃない気がする、どちらかというと気まぐれに書きたい方。職業にしたので描くという感じ。

すずさんは戦争という恐ろしいものと背中合わせの暮らしなのに、呑気にスケッチなんかしてる。その様を見て、私はこどもの頃に母からこんなことを言われたのを思い出してた。「この子はホンマのんびりしてるわ。変わってる。火事になっても炎に見とれてると思うわ。」

 

・・・社会という大きな容れ物の中にいて、ほんの少しでも居心地の悪さを覚えたことがある人ならば、おそらく すずさんを自分のことのように思えるのではないかな〜。そう、すずさんは過去の人ではなく、今を生きる私たちとなんら変わらない、すごく普通の、ささやかな幸せを望む人。過去へタイムスリップするファンタジー映画がある一方で、『この世界の片隅に』は観客を「すずさんの時代」にワープさせてしまう。

 

会話が方言で交わされるから、ところどころよく分からない。言葉だけではなく、この映画は不親切というか、多くを語らない。例えば、すずさんが迷子になったところは遊郭なんだけれど、映画でははっきりとは語られない。ここはどこなんだろう? また、床に伏せっているすずさんの妹の腕には斑点が出ている、それは…それは…広島の原爆が原因…? と観るものはハッとするのだけれど、映画は多くを語らない。だって、すずさんたちは知らない、広島に原爆が投下される悲劇も、敗けて終戦を迎えることも…まったくもって私たちは、すずさんと同じ感覚で時間を過ごす。その「よく分からない」というのが、また涙の素。泣けてくる。

 

食べ物が美味しそうに映っている映画は良い映画、という持論が私にはある。『この世界の片隅に』で、すずさんが作るお料理がなんとも美味しそうで、美味しそうで、美味しそうで。戦下ですから、だんだん食料が乏しくなる日々の中で、すずさんは歌うように料理を作る。すみれやタンポポで作った食事を私も頬張ってみたくなったもの。すずさんはうまいなぁ、お料理だけでなく、世の中のどこかに喜びを見つけるのが。

 

いつだって、幸せになれるかどうかは、本人の感じ方次第。見つけ方次第で幸せになれる。どんなに貧しくても、どんなに苦しくても、日々の片隅に喜びがあれば…心通じる人がいれば…。けれど、個人ではどうすることもない国家の横暴に巻き込まれたとき、庶民はあまりにも儚い。爆弾の雨の下、人は無力でしかない。ああっ戦争のクソ野郎! ここで叫んだところで やるせ無いけど…。

 

お願いだから、すずさんには幸せになってほしい、すずさんの旦那さまが良い人であってほしい。私はぎゅっと胸を締めつけられて結末を見守った。ネタバレにならない程度にラストは書いておくと「あ、良かった」と救われます。『火垂るの墓』などは悲しすぎて2度と観たく無いけれど、ね。監督は片渕須直さん。この方の作品を観るのは初めてでしたが、綿密な取材を重ねられたのだろうことは伝わってきた。公式サイトを見たところ、前作も口コミで評判になり観客動員を伸ばしたとか。

 

エンドロールのおしまいになって、私は最後のひと泣きをしてしまった。スクリーンにクラウドファンディングで支援された皆さんのお名前が次々にクレジットされているのを目にしたとき、自分の経験を思い出したのです。クラウドファンディングを達成し 「5.6夢コンサート」が開催できることが決定した時のあの喜び、そして、応援してくださった方々への感謝の気持ちが込み上げてきた。心の底から「この映画を観て良かった」と感動しちゃいました。私も3枚目のCDアルバムに、何かそういったクラウドファンディングの足跡を残したいな。

 

最後に「5.6夢コンサート」情報〜!

チケットがPeatixにてネットでお求めいただけるようになりました。こちらはQRコードで当日入場していただけます。スマホにチケットが届きますので便利ですよ❤️

こちら↓からどうぞ♪

http://ringo.peatix.com/view

 

そして、入場料は2,500円ですが〜 さぁ♪ 子どもも大人も一緒に歌いましょう、りんごりんごりんご〜♪

未就学の子どもさんは無料、小学生は1,000円、中学生以上は大人料金となりました。子どもさんにも来てほしい!

 

これからも頑張りますね。よろしくお願いします!

 

りんご🍎

 

●「この世界の片隅に」公式サイト

 

🍎歌うパステル画家5*SEASONりんご デビュー3周年記念

りんごの夢コンサート

〜奈良から歌おう歌謡曲〜 

5.6(土)ならまちセンター 市民ホール

開場17時 開演18時

 

🍎 夢コンサートに向けてのクラウドファンディング

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