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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『けろ卍』



愛という言葉を使うのは
とっても気恥ずかしいけれど。

愛の深さって量れるものでしょうか。
恋い焦がれている相手がいたとして、
どれほど大切にされているか、
量れる品物がお店に売っていればいいけれど。

自分がどれほど相手を想っているのか、
指し示す“物差し”をお金で買えたなら、
それで相手を満足させることができるのかしらん。

あの人と私と、どちらが好き?
仕事と家とどちらが大切?
理想と現実、どちらを取る?
ふたつの重さを量れる天秤量りがあれば、
迷いは蜘蛛の子みたいに散り散りになるのだろうか。

いんや、人という生き物は疑い深い性質なので、
いくら精巧な量りを持ったとしても、
疑いや不安から無縁でいられない。
その量り、狂ってるんじゃ…?
新しい歯痒さに襲われるに違いない、
と、あたしは思う。・・・
それがホモサピエンスの持てる性なのでして・・・。

不安、疑心、悩み、
ここから逃れられる人っているのかな。いたとしても、
いつぞやの記事でも書いたように、
“生きる限り若い人”が私は好きなので、
悟り切った人には あまり魅力は感じない。

人は不安や疑心と共に生きる生き物だと私は思うから、
いくら相思相愛の関係だとしても、ふと、
「愛されていないんじゃないか…」
と孤独にもなるだろう。惨じめにもなるだろう、
そんな時、愛の深さを量れる物があれば…
なんて馬鹿なことを思ったとしてもそれは可愛げというもので。

たとえば男と女の場合、ベッドの中が量りだと言う人もいる。
愛を確かめるためのイトナミ。
でも、それがコンプレックスの種になることも、
嫉妬や疑心の引き金になることもある。
愛の深さを量るための天秤量りのはずが、
ユラユラユラユラ揺れっぱなし。
だって、仕方ない。秘め事なんだし。
人はどうイトナンデいるんだろう、
不安なら、大っぴらに友人に相談するも良し、
カウンセリングを受けるも良し、
けど、最後の最後は「ふたり」の秘め事だしねぇ。
まぁ、3p 4pのマニアックなケースもあろうけど。

愛の深さは秘められたまま。
所詮、愛は量るものではなく、
受け止めるものだと私は思う。
ひとり、自分の感受性しだい。

といいつつ
不安になるけどねぇ、わたしゃ平凡な人間なので。



★★★★☆☆☆ 7点満点で4点
ショートバスとは・・・
アメリカのスクールバスの短い版。肢体不自由児、あるいは
天才児など特別ケアが必要な児童のためのバス。
NY、ブルックリンにある最先端のサロン。
そこでは誰もが思いのままに愛を求める・・・(映画チラシより)

ものたりない。
ジョン・キャメロン・ミッチェル監督待望の新作、
期待して観たけど、やっぱりねぇ。
ホームランって、そうは打てないのねぇ。
淋しがり屋が片寄せ合って仲良し子良し。
前作『ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ』が
B級ロックと共に放ったメッセージ「孤独の中に立てっ!」に、
すこぶる共感した私としては ものたりない。

話題になっている“激しすぎる性描写”は
確かに激しい。けど、バカバカしくって笑えるし、
まるっきりアクロバチックなスポーツ描写なので
ボカシを入れてしまったことの方が大馬鹿。
肝心のモノをボカシてしまったせいで、
彼等の劣等っぽさが半減してしまった。
ものたりなく思った原因は
センス悪いボカシのせいでもあるっちゅうに。

ものたりない原因として大きいのは
この映画が「9.11」とテロの恐怖を含んでいるのに、
ゆる~く「片寄せ合って」で終わっているところ。
まだまだニューヨークではデリケートな材料で、
踏み込むには ここが限界ってこと…?

“夫婦生活”で悩む男女、ゲイのカップル、
のぞき見の同性愛者、SMの女王様などなど・・・
くせ者だらけの人間が登場するけど、
どいつもこいつも 魅力たっぷり!
この描写とキャスティングは素晴らしい。
特に性生活に悩むソフィアがいい~!
ナインペタンの胸も「私は美人じゃない」という顔も、
だんだんに輝いていく。表情の変化がステキだった。
ハードなエッチ場面も えらいっ!よくやった!

J.C.ミッチエル監督が人類へ寄せる愛は どうやら深い、
と私の感受性は反応した模様。
けど、この人には「孤独」が似合う、次作に期待しよっと。


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