パフューム ある人殺しの物語 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー


『極上の香り』



映画『パフューム』を観た。
天才あるいは奇才に芽生えた野望。
異常なまでの嗅覚をもった男の狂気。

香り、味覚、そして目には見えないエネルギー。
視覚ではとらえられない感覚を
絵に残せたらいいと、またもや思う。


★★★★★☆☆ 7点満点で5点
18世紀のパリ。
悪臭のがたちこめる魚市場で産み落とされた
ジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。
冒頭の、この場面の異常さと鬼気迫るエネルギー。
本作が“ただの天才物語”ではないことを存分に発揮。
ラストの“エロスの大饗宴”よりも、
私の中にはインパクトをもって残っている。
3月の初めに観た映画なのに、まだしっかりと。

「なぜ人を殺してはいけないんですか」
かなり前、某報道番組の討論会で、
一般の若者が質問したことを思い出す。

歌舞伎町の映画広場でのこと。
『さくらん』を観た後、
『ドリームガールズ』上映中の映画館の前に立つも、
どうも食指が動かず。
予告で観たコーラスガールのパワフルな歌唱と
圧倒的なパフォーマンスは気になったけれど、
かなり脂っこそうな予感…。
影像ではなく、ライブで体感するタイプの歌だと思い、
『パフューム』の映画館へ足を運ぶ。
話題になった“衝撃のラストシーン”を目にしたかった。

折り重なる男女の性、
場面にはクラクラしたが、そこに匂いはなかった。
映画館のカビ臭さの方が鼻につき、
人を惑わす香りとは悪臭よりも想像し難いのだと思う。
といっても、匂いの影像化には成功してる、
私の想像力が貧困なのかもしれない。

『ドリームガールズ』が
音楽そのものの影像化を意図していたら、
一直線に観ただろうに と、
音楽が聴こえるような平面を創りたい
そんなことを願う一絵描きは また戯言を繰り返す。

奇才を演じたベン・ウィショーがいい。

~3月7日 新宿トーアにて鑑賞~



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