三度目の『ホテル・ルワンダ』 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

ナミダ

HOTEL RWANDA


三度目の正直とでもいうのか、
三度目の観賞にて、あんなにも涙が
ホロホロ落ちるなんて、
まるっきり思いもよらなかったから、
我ながら自分の涙腺に驚き、感嘆し、いたわって、
最後の『ホテル・ルワンダ』を観た。
“最後”というのは、
劇場で観るのはこれが最後という意味で、
DVDが発売されたらもちろん買うだろうし、
そしたら また家で観るだろうけれど、
劇場公開に協力させていただいた身分として、
GWという映画シーズンの大きな変換が目前の今、
昨年からの活動や声援にも一区切りとしたい。

思えば最初に観たのは公開初日の1月14日。
満員御礼の雨の中、最終回、
劇場公開を求めていた身でありながら、
あのときは初めて観る『ホテル・ルワンダ』。
映画の感動も去ることながら、
念願かなって日本での封切りという
清々しい達成感と感慨も確かにあった。
あの日、止めどなく涙が溢れ、
映画という表現媒体の素晴らしさを実感した。
「ひとりでも多くの人に観てもらうべき作品だ」
私は まぎれもない確信と、自信に満ち、
渾身の制作をされたスタッフに
深々と頭を下げたい思いで いっぱいだった。

二度目の『ホテル・ルワンダ』は2月、
今や隆盛を誇るシネコンでの観賞。
リアルなサウンド、大きなスクリーン、
リラックスできる清潔な座席、
ミニシアターでは味わえない迫力の上映に、
さぞや感動するだろうと思いきや、
意外にも冷静に「優秀な ものがたり」として、
淡々と感動し、少し物思いにふけった。

だから三度目はあっさりと冷静に
ほどほどの興奮で観るのだろう、
そう思って疑わなかった、なのに
気がつけばスクリーンがぼやけ⋯。
なぜだろう、なぜこんなに泣ける?
自問自答しながら、
次々に流れていくルワンダの情景を
ただただ傍観していた。

そう、傍観。
傍観者としての私。
一度目はどこかしら義務的に、探りを入れながら。
二度目は映画から感性を盗むかのような挑戦者気取り。
三度目にして、ようやく、
私はただの「映画を観る人」になった、
そうして、観ているだけで
何も出来ない傍観者の自分に
争いを目前に魂が揺さぶられた。

「どこで泣いたの?」
映画の後、隣で観ていた友人がたずねてきたが、
どこだか分からない。
いつのまにか目が熱くなって、熱い物が流れた。
そう答えるだけで、また涙が出た。
泣く映画が いい映画、
泣いたから感動したという考え方は、
まったくアホらしい尺度だけれど、
そこから脱した次元で今思う。

『ホテル・ルワンダ』は、よくよくよく出来た映画だ。
欠点も含めて、素晴らしい作品だと私は思う。
このような作品に関われた自分と、
作品を通じて知り合った人たち、
そして共に感動してくれた友人たちに、
あらためて、感謝。ありがとう。

私は私のやり方で、
『ホテル・ルワンダ』のような渾身の作を
この世に生み落とせばいい。

●二度目の『ホテル・ルワンダ』の感想
●一度目の『ホテル・ルワンダ』の感想



★★★★★★☆ 7点満点で6点
「シアターN渋谷」にて観賞。
3:40の回で お客さんは全70席の7割ぐらい。
公開から4ヵ月たつというのに、
平日で この様子はすごい。

同じ映画を三度も劇場で観るという経験は初めて。
三度とも違った感動が得られたことに感動。





●ホテル・ルワンダ公式サイト
●『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会