『ホテル・ルワンダ』 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

タイ

結び間違えたネクタイ。
このネクタイが現れる場面は
主演ドン・チードルの最大の見せ場であり、
観る側にとっても心の分岐点であった。


このブログで、『ホテル・ルワンダ』を
「は行で始まる映画」として
インデックスに振り分けられる日が、
とうとう やってきました。そう、
ついに、ようやく日本では採算が合わないといわれ、
劇場公開が見送られていた『ホテル・ルワンダ』を、
公開初日の昨日、観てまいりました! 思えば、
初めてブログに『ホテル・ルワンダ』のことを書いた日
から8ヵ月、とうとう観た感想は⋯
いえ、その前にご報告。

おかげさまで映画『ホテル・ルワンダ』は、
大入り盛況、各回共に満員御礼で初日を終えました。
私が観た最終回レイトショーも
立ち見席まで満員と、私は お客さまでいっぱいの映画館で、
あつい熱気と共に
『ホテル・ルワンダ』を観ることができました。
嬉しや嬉し。ああ、昨日までの全てのことが、
この日の事実へ繋がるための良きエピソードだったと、
今は気持が花丸になっております。
ありがとう、『ホテル・ルワンダ』!
すごいど、ルワ会!

さて、テリ-・ジョ-ジ監督の作品『ホテル・ルワンダ』。
ドン・チードル主演の『ホテル・ルワンダ』。
秀作だと大評判の『ホテル・ルワンダ』。
まったく、噂通り、好評価通り、いい一本です!
晴れてオススメいたします、
ぜひ観てくださいな、劇場で。
そして、どうか、この映画を大ヒットさせてください。
きっと、『ホテル・ルワンダ』を観た人の多くが、
映画館へ行く前の平常心に
ひと味もふた味も違った共鳴心を伴って、
映画館の外に出て帰路に付くことになるでしょう。

とはいえ、その共鳴した心も、
日々の繁昌な情報と街の喧噪に揉まれ、
消え去るかもしれません。けれど、
たとえば貴方が海外のニュースを耳にしたとき、
「この状況に、もしも自分自身が遭遇したら」
と、それまでにはなかった視野で受け止めるのでは~。
とてもポジティブなことだと思いませんか。

『ホテル・ルワンダ』の どこがいいって、
まずドン・チードルを始めとする俳優陣の熱演が、
素晴らしい! 圧倒的な情熱、これを
スクリーンから次々に発せられのですから、
多くの人が魅せられることでしょう。
ドンだけでなく、ソフィ・オコネトーもいいわ、
ニックもいい、ホアキンもいいし、
チョイ役の美味しいジャンレノもOK。
熱演の見どころは たくさんあれど、
なかでも冒頭↑のイラストにも描いた
ネクタイを結ぶシーンは秀逸。
状況に流されていた裕福なホテルマンが
まさしく起こっているルワンダの悲劇を受け入れ、
現実に打ちのめされ、恐怖に もがき、
正義と格闘するという重要なシーン。
このシーン実は、映画を観るより前に
昨年の12/1に行った粉川先生のゼミでひと足早く目にし、
彼の演技に釘付けになったところで、
映画全編を通して観たなら、強烈なインパクトがあり、
ただただ胸が締め付けられた。
息を付くヒマもなく、嗚咽する私⋯。

さらなる『ホテル・ルワンダ』の素晴らしさ。
ルワンダ大虐殺の残虐性を真正面から描くのではなく、
ひとりの人間の心理変化に
焦点を当てたところが優れている。
映画ファン向けに表現すると、
本作はルワンダ版『シンドラーのリスト』でもあり、
『ダイ・ハード』でもある。
ひとりの男が自分にできることを模索し、まっとうする
この、一見とてもシンプルな実話を
監督は実にスリリングに、真に感動的に描く。
着眼点をルワンダ大虐殺の真実を暴くことではなく、
虐殺の悲惨さはあくまでも背景に、
主人公が「人間の弱さ」に向き合う経緯へと移したことで、
ルワンダという遠方の国の悲劇が、
裕福にあぐらをかいている国でも起こり得るのだと、
大きく警鐘を鳴らして、響いてくる。
「あなたのなかにも残虐性が潜んでいますよ」と。

渾身の作『ホテル・ルワンダ』は
ひとりでも多くの人に観てほしいという、
作り手たちの清き想いが結晶したエンターテイメント。
あえて娯楽映画といってもいいのでは?
ともかくハリウッド映画が本来もっている、
難解なものを親しみやすく噛み砕き、
わかりやすく導いてくれる、そんな作品と
久しぶりに出逢い、そして堪能できました。
日本で非公開になった映画なのだから、
血ィがドバドバ吹き出すスプラッター映画だとは、
どうぞ勘違いしないでほしい。

確かに映画全体を通して、張り詰めた緊迫感と、
いつ襲われるか分からない無気味さが漂っています、
が、そんな状況でも人は愛を語るし、
子どもたちは歌を歌うんです。

社会が結び間違ったネクタイのように、
たとえ間違いを起こしたとしても、
冷静に自分のネクタイを結びなおせる強さ
この映画が伝えたいことは それだと・・・。


さぁ劇場へ!

★★★★★★☆ 7点満点で6点
ルワンダという国のことや
1994年に起こった大虐殺についてなど、
なんの予備知識を持たなくても楽しめる。
⋯とは、一緒に観た友人の談。

星の数が満点ではないのは、
私にとっては音楽の使い方がちょっと過剰だったことと、
音楽の挿入のタイミングが私のそれとはズレがあったこと。

あと、劇場のシートがっ!
前の列のふたつの頭で、画面の下3分の1が観えなかった。
座席を互い違いにするなり、床に傾斜をつけるなり、
改装したんだったら、もう少し工夫の跡を見せなさいな。
「ほとんど字幕が読めなかった」と、
前から4列目の私のグループは非難ごうごう、
小さい劇場ですので、これから観る人には
一番前の席か、左右両端の席をおすすめします!


『ホテル・ルワンダ』日本公式サイト

●『ホテル・ルワンダ』日本公開を応援する会サイト

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