ワタシのコーヒーの話 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

トリ氏 コーヒーはブラック。そう決めている私が、或る時ミルクをたっぷり入れてコーヒーを飲み干したのは、友人たちに評判の『f』という喫茶店でのこと。
 カウンターに座り、「本日のコーヒー」をオーダーし、何をするでもなく、ただボンヤリと店内に飾られたワイン色のカーネーションを見ていたら、背後の席から女子大生らしき、ふたりの会話が聞こえてきた。就職のこと、恋愛のこと、テレビのこと、そして、ヨノナカのことを話しながら、ふたりともカプチーノを飲んでいる。そのフワフワの飲み物ときたら まるで、まんま女子大生のフワフワした髪の毛のようだ、なんて思いつつ、なんとはなしに耳を傾けてみる。彼女たちのお喋りは「本日のコーヒー」が私の手元に運ばれてくるまでの間、居心地のいい音楽のようにスンナリと流れて来て、それは まるでビバルディの『四季』みたいに懐かしく古典的で。
 「本日のコーヒー」がやってきた時、何の躊躇もなくカップへミルクを注いだのは、きっとカプチーノの彼女たちに感化されたのだ。ビターよりもマイルドを その時の私の“気持”は求めた。

つまり⋯ニートだ、フリーダーだ、無気力だと
セケンは“病める若者たち”をゴウゴウと非難するけれど、
それは実のところオトナたちが
たまったストレスのハケグチに若者を選んでいるだけで、
むしろ病んでいるのは
世の中を動かしている人ではなかろうか、
もっと、シャンと背筋を伸ばしてほしいものだ、
そんなことを思いながらコーヒーを ひと口含んだとき、
「今日のコーヒーってハワイ・コナだったよね」
という女子大生の声が聞こえてきた。

コーヒーにミルクは邪道だと思っていたけれど、
南の島のコーヒーにミルクはフルーティーで良いと、
ある日のこと、友人のネコ氏に話してみたら
どうやら『f』が気に入ったようね、と
電話の向うからネコ氏の明るい声が聞こえてきた。
私が「本日のコーヒーは毎日変わるのか」とたずねたところ、
「そんなのあった?」とネコ氏。
ふたりで大笑いした後、近いうちに『f』で
カプチーノをふたりで飲もうと約束した。

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