愛より強い旅 |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

マロンロマン

ロマン・デュリスを
ついついマロン・デュリスといってしまうのは、
私だけだろうか。いーや! けしてそうではない、
そんなわけはない、お友だちはいる!!!!!


『原点回帰』
という端的な言葉で
この映画を言い表わしている人がいて、
なるほど、と私も同意するのだけれど、
「いや、私は⋯」
と反骨することをつい好んでしまう身としては、
『原始』という言葉こそが、
「まるっぽガトリフ」の この映画には相応しい、と。

原題は『EXILE』-- 放浪者、逃亡。そして亡命?

原始回帰することによって、
自らの根源を探ろうとする音楽映画。
ガトリフのセンスで彩られた音楽が たいへんセンス良し。
パリ、アンダルシア、モロッコ、アルジェリア。
「自分は何者なのか」
「どこから来て、どこへ行こうとしているのか」
ルーツを求めて放浪の旅に出た男女は、
映画の冒頭ではテクノな音楽でスクリーンに現れ、
最後にはアルジェリアのスーフィーによる音楽で、
トランス状態に陥り「自分のルーツ」と出逢う。
テクノと民族、この両の音楽は、
実は同じ領域に位置していると、
映画を観終わった時、胸が救われた。
音楽を奏でる方法が時代と共に変化しても
人が求めるものは変わらないのだ。
付け加えるなら、トランスと座禅は同じ域にあると、
乱暴な括り方をしても許されると思う。

もともと、人は自らの身体に音楽を持っている。
鼓動を。
心臓が刻むビートを。
自らの身体が音楽そのものであることを
これまでに意識し、
自身のビートを聴いたことがあるならば、
この『愛より強い旅』は、
壮快な気分を贈ってくれるだろう。

どうぞ観て、感じてほしい。
さすらい手に入れる、原始回帰。

「からっぽ」
やり直すには、一度、からっぽにするがよい、
何事も同じ、人も国も、この星も
と、音や映像やロマン・デュリスが訴えてくる。
デュリスはチャップリンのようにも映るには、
これも回帰、映画の回帰だと思われる。

映画を観終わって外へ出たとき、
大きく深呼吸していた。
軽いトランスから逃れるように。


★★★★★★☆ 7点満点で6点
ストーリーを楽しみたい傾向の人には
平淡で物足りない作品と映るかも。
反面、海ほどの好奇心を持っていて、
地球サイズの音楽が好きな人には特大のオススメ品。
マロンさんの相手役を演じたのは、
『ビバ!アルジェリア』に主演していた女優さん。
彼女のメスっぽい演技がインパクト大。

●『愛より強い旅』公式サイト

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