ベルヴィル・ランデブー |  ◆ R I N G O * H A N

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歌うパステル画家5*SEASON鈴御はんの蒼いブログショー

映画に出てきた孫が、なんかヴァンサン・カッセルに似てた。
自転車に乗ってる場面とか、ソックリで笑いそうになったさ。


♪アカプルコで死ぬのは嫌だね
 ぎこちなくジゴロと踊るなんて
 コンスタンティノーブルも嫌だね
 カトマンズなら住んでもいい
 韻を踏みにくい地名だから
 イカれて騒いでいたいんだ
 ベルヴィルの三つ子みたいに♪


ええ歌や~♪ めっちゃ気に入った!
軽快にスウィング、スウィング~
耳障りもよく、自然と足踏みなんかしてしまいそう。
歌詞は だいぶ省略してるけど、この曲が
『ベルヴィル・ランデブー』の骨格だと思う。
何でって、カトマンズに住んでみたい理由が
「韻」というところが良い、
好きなものに論理的な説明なんていらない、ってこと。
つまり映画のタイトルの、ランデブーの意味は
フランス語で「逢い引き」。
よーするに恋! 恋コイ恋! 好きな人に会うのに、
いちいち理由はいらないって~こと。
難しいことは放っておいて、
ちょっとヘンテコでも ええやん、
コツコツいきましょーーーー!
しょせん人生に意味を求めたってダメ、
なんとかなるさ~! ナンセンス、ばんざ~い!
(‥‥この間観た『A.I.』とは趣が全然違うがな、反動かな)
というお話でした、これ。すごーくいい!
よくぞ、このテイストで長編が出来たなぁと感動した。
とにかく、奇跡的に綺麗やし、絵が。
アニメというより、動く漫画やね~。

相方の でこが言ってた通り、
この映画に たっぷり仕込んである皮肉、
バカバカしさ、単純さ、絵の美しさ、全部好き!
このバカバカしくも素晴らしい世界に、
長々と感想を書くなんて、
阿呆の塗りたくりで恥ずかしいけど、あたしゃ書く!
予告で観た時から、あたしは この映画が好きやった。
でも完成度が高そうやし、
しかもアンニュイな気配が あたし好みでヤバそうで、
観た後、変に影響されそうな気がして、もしハマったら、
とことん追求してしまうのが私の性格やし、
そんなことになったら たまらんから、
実は昨日の朝まで観るかどうか、マンジリしてた。
結局観たんやけど、案の定、この映画は素晴らしく、
観終わってすぐ、もういっぺん観たくなってしまったほど、
なんとかそれは、手をグ-にして我慢、
ワナワナと震えながら帰ってきた‥‥というわけ。
観てよかった、ありがとさん、でこー。
おかげさんでこの映画は
ケチをつけるところが見あたらないぐらい、
オリジナルに富んだ商店街みたいなもの、
もうパーフェクト! なので、あたしの感性が入る余地もなく、
変に影響されることもない。だから、
ショメ監督と、音楽のブノワの1ファンとして言いましょう、
このアニメ‥‥いえ漫画活劇は
ナイスで ブラーボーで ハラショ!

見どころを書き出すとキリがないけど
特にCGも使ってあるのに“取って付けた感”がなく、
理想的な形で画面で融合してるところが えらい!
近ごろ思うに、新しい技術を手に入れたら、
そのぶん何かを諦めた方がいいんだろう、たぶん。
この映画ではセリフが無くなっていて、
ほとんどが効果音と音楽と
パントマイムで物語は進行する。
それに最初と最後がシンクロするのも気が利いてるし、
ノイズ入りまくりの痛んだオープニングも
「差別映像ギリギリ」で私的にOK!
おばあちゃんが孫のために海を渡るシーンには感動したし、
犬の性質が上手に組み込まれてるのも唸った。
最高なのが洗濯機・掃除機・新聞紙・車輪の
イカレたアンサンブルがたまらない。
音楽担当のブノワちゃんは間違いなく芸術家、
オツムがキレてるな~(頭がキレるという意味ではない)。
とにかく「良き昔」が いっぱい詰まっていて、
全体的に哀愁が ただようセピア調なのに、
未来的で夢があって、サーカスのようで、
チャップリン的でタチ的で、
カサンドルのようにデザイン的でもあって、
強烈なフランス人ワールドが炸裂してる。
悪者との決着の付け方もバカバカしくって良いなァ。
良きフランス映画を観た、そんな余韻がまだ残ってる、
あー今年最初の一発目が大当たりで、『~12』が心配かも。

★★★★★★☆ 7点満点で6点!
褒めちぎったわりに、なぜ満点ではないかというと
欠点が今のところ思い付かないから。
あたしが最高だと思うものって、素晴らしさとは裏腹に、
とんでもない欠点を持ってることが多いねん。
この映画を観た後に『スーパーサイズ・ミ-』を観ると、
皮肉の相乗効果でより楽しめそう。

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『Mr.インクレ~』を観て、儚く思ったものを、
全部、『ベルヴィル・ランデブー』が補ってくれたわ。
どうやら、システム化された映画より、
手作り感がある映画の方が、うちら外道には魅力的、
というところで一致してるようやな
なんちゅうても うちらコマ犬は皮肉屋やし。

●相方・でこのブログ