小・中学校が小規模校であったため、学年を超えた行事や遊びが多く、すぐに誰とでも打ち解け、気軽に話ができる性格となった私は、将来は人と関わる職業に就きたいと考え始めた。選択肢の中には看護師もあって、高校2年生の夏、一日看護体験に参加し、そこで1人の患者さんと出会った。最初、話しかけた時、彼女は全くの無反応であった。その後、何度か話しかけてみたのだが、結局一言も話せずに終わってしまった。そんな彼女も担当の看護師さんに対しては乱暴な口調ではあるがよく話をし、心を開いているように見受けられた。人とのコミュニケーションには自信があった私は、どうして自分が受け入れてもらえないのかがわからず、悔しい思いをした。その後、看護師さんに話を伺ったところ、彼女は看護師さんの語りかけに対しても最初は全く反応せず、辛抱強く毎日話し掛け、話を聞こうとするうちに徐々に心を開いてくれたのだという。人とのコミュニケーションで大切なのは、自分が一方的に話しかけるのではなく、むしろ相手の話を聞こうとする姿勢であり、それが心を通わせるためには、最も確実な方法であるのだということを知った。自らの浅はかさを恥じ、これを機に私は変わった。自分の意見を話すよりも、友人の話の聞き役に徹するよう心掛けた。すると、周りからは「聞き上手」と言われるようになり、相談の数も増え、「A子に話すと、落ちつく」「元気になれる」と言われ、頼られるようになっていった。
看護師にとってコミュニケーション能力は、患者さんとの信頼関係を構築するためにも、深い専門知識や幅広い教養、高度な技術とあわせて必要不可欠なものであると言われる。従って、その基本的な理論や方法については、当然学ばねばならないと考えてはいるが、それ以上に、相手の心に寄り添い、相手の心の痛みや不安を和らげようとする奉仕的精神こそが何にも増して大切であるのだと知っている私は、貴学医学部保健衛生学科(看護学専攻)の推薦入学の対象者として適格であると思っている。