「言語道断」の解釈ヽ(`Д´)ノ | 好文舎日乗

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本と学び、そして人をこよなく愛する好文舎主人が「心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつ」けた徒然日録。

国語辞典で「言語道断」を引いたら、次のようにあった。

 *〔「言葉で説明する道が絶たれる」の意から〕… (『大辞
林』)
 *①〔仏〕言語で説明する道の絶えた意。…(『広辞苑』)
 *言葉で表現する道が断たれるの意。…(『日本国語大辞
典第二版』)
諸辞典は「道」を方法の意に解している。
ところが、試みに「道断」を引くと、
 *〔「道」は言うの意〕言うにたえないこと。
もっての ほかのこと。(『大辞林』)
 *(「道」は言うの意)言うすべの絶えること。もって の
  ほかのこと。(『広辞苑』)
 *(「道」はいうの意)いいようがないこと。もってのほ
か。言うすべの絶えること。(『日国大第二版』)
とある。そうであれば、「言語道断」の注釈はおかしい。

そんな中で大野晋・田中章夫編『角川必携国語辞典』(角川書店)が「言語道断」の項に《「言語同断」は誤り。「道」は、言う。「道断」は、言うことばがないこと。もと仏教で、深いさとりの境地はことばでは言いあらわせないという意味から》と注記するのは注目に価する。

辞書は大きければよいというものではない。