真面目に
帰り道
ボクの腕にくっついでくるチカコ。
こうやって歩くのは今じゃ当たり前になっているが最初はドキドキした。
今はドキドキではないが暖かい気持ちになる。
どうでも良い様な会話を笑って、考えて、一緒にいる・・・
この笑顔が好きだった。
そんな空気が好きだった。
「じゃあまたねー」
「おう、早く寝ろよ」
チカコを家まで送り届けて来た道を戻る。
「ふー・・・今日は星がキレイだな・・・」
街灯の少ない田舎では晴れていた日の夜は星がキレイに見える。
こんな田舎は昔嫌いだったが、この街でチカコと一緒になってずっと過ごしていく。
そんな事を考えるようになってから、そんなにこの街も悪くないかな?なんて思っていた。
もう4年も付き合ってるし、真面目に今後の事も考えていかないと。
そんな事を考えている。
「しかし6月に入って暖かくなったとはいえ、夜はまだ肌寒いな・・・」
ボクはポケットに手を入れて早足で家路についた。
忘れるべき事
チカコは昔会社の上司に騙されて、浮気をしてしまった事がある。
酔っていたのもある、上司が強引だったのもある。
チカコはボーっとしてるし騙されやすいのかもしれない。
でも浮気は浮気だ。
物凄く頭にきたし、思いっきりケンカもした。
その上司の所へ怒鳴りつけに行こうかとも思った。
けど、会社でのチカコの立場もあるし、泣いて謝る姿を見ていたら
なんだか自分が悪い事をしているかのようになって結局許してしまった。
「・・・よね・・・」
「おーい!」
「え、なに?」
「もう、また考え事してる!」
「ごめん、なんだった?」
聞いてなかったボクに少しスネている。
もう忘れていけばいい事なのにいつまでも引きずってるボクがダメなのかな・・・
実際、ボクはチカコ側に居なければ生きていけないと思うほどべた惚れだし。
「さーて、ボクもチカコも残念ながら明日も仕事だしソロソロ帰るか?」
「んー、そうだね」
チェックをして出口に向う
「ちゃんと優しくしてあげろよー? じゃないと俺が取っちゃうからなー」
笑いながらマスターが言った
接客業の人間が言うセリフじゃないな・・・
苦笑いしてボクとチカコは店を後にした。
なぜだろう・・・?
「いらっしゃい!」
BARに着いて明るい声で迎えてくれたのはマスター
この店もチカコに紹介してもらった店だ。
マスターはたまに毒を吐くが、人をひきつける魅力がある。
天性のものだろうか。
ボクもその魅力に惹かれて常連の一人になってしまっている。
カウンターに座り2人でお決まりのカクテルを注文する。
こんなありきたりの空気がボクは好きだった。
「ところでさー、なんでチカコちゃんは彼と付き合おうと思ったの?」
「え?何 急に」
しばらく飲んでいるとマスターが唐突にチカコに尋ねた。
「チカコちゃんくらい可愛かったらカレじゃなくても一杯選べただろうに」
笑いながらマスターが言う。
確かにチカコは可愛い。
なぜボクなんかと付き合ってるのか解らないくらいだ。
実際よくナンパされたり、告白されたりしているらしい。
ボクはお世辞にもカッコイイとは言えない顔だが・・・
「なんでだろうなぁ、優しいからかな?」
それだけか・・・
少し納得のいかないのが顔に出ていたのかチカコがフォローを入れる。
「うそうそー 他にも一杯あるよー」
「えー、俺にはわからないけど、何が?」
マスターが聞きなおす
おいおい・・・実際他には無いのかも知れないからあまり聞くなよ。
「色々あるよ、でもマスターにはナイショ」
笑いながらチカコが答えていた。
こういう話になると今でも嫌な事を思い出してしまう・・・
今でも・・・
酷く傷ついた体を悲しそうに手当てしている女性がいた。
悲しそう?
いや・・・悲しそうに見えるだけだろうか?
その男はどうしてそうなったのだろう
静かに眠り続けていた・・・
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「お邪魔しまーす、来たよー」
「おう、相変わらず遅かったな」
今家に来たのはチカコ
もう4年も付き合いがある女性だが、チカコは天然で動作が遅い、少しボーっとしている。
外出の準備などをさせてもボクの3倍以上の時間が掛かってしまう。
そんな所がカワイクもあるが・・・
今日は給料が入ったのもあって、馴染みのBARにでも行こうという話になっていた。
「まったく・・・ 約束の時間より2時間も遅刻だぞ?」
「う・・・ごめんなさい」
もう4年もこの状態だと慣れてしまうのか、遅刻が当たり前になっている。
たまにはビシッと言った方が良いのかな・・・?
「・・・どうしたの?」
そんな事をボーっと考えているとチカコが不思議そうな顔で顔覗いてきた。
「いや、なんでもない」
まぁ惚れた弱みか、特に強い事も言えずだった・・・
