もともと日本の夏には、
タオルケットや薄めの肌掛けなどが主流であったが、
ここ十数年の暑さ、夜間になっても冷めない熱帯夜の暑さから違うものが求められていた。
そこで熱を逃がしやすい脱脂綿のようなものガーゼ、
ガーゼケットが市場に出回っていたように思う。
タオルケットに比べ、ガーゼケットは、
・熱がこもりにくい
・洗った後の乾きが早い
…などの利点も多い。
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私がリネンに触れたのは、それより少し前の約20年前。
とあるメーカーさんのアイリッシュリネンというものを触ったが、麻なのに
「こんなに柔らかいものか!」といたく感動したのを覚えている。
麻 = 硬い・チクチクする
と、あまり柔らかなイメージはなかったように思えるが、
リネンは麻の種類の中でも柔らかな素材だと知り、リネンのガーゼケットに着手したのを覚えている。
そのリネンは硬く撚(よ)ったり、糸番手を細かくしたり、
更には着色するなどすると、糸が安定し、粗悪品が少なくなる。
しかしながら、粗悪品といっても日常で使うには全く問題がなく、
リネンの良さを生かした柔らかくざっくりとした、
吸水性が良い仕上がりには甘撚りの生成リネンが必要であった。
そのため仕上がった品は、段々がでてきてしまい、
色がまばらになりB品が上がってしまう。
しかし金澤屋では、それを良しとし、織り屋さんに了承し、
今のガーゼケットを作成し続けている。
確かにB品も多く出てしまい、機屋さんは製作を一度お断りしてきたが、金澤屋ではそれも全量
買い取ることにして、製作をつづけてもらっている。
そんな甘撚りの日本製リネンガーゼケットも発売から10年が経とうとしている。
これからも改良を加え、少しでも日本の熱帯夜のお役にたてればと思っています。