Eureka/Mignon Single Dose BlowUp Cleaning ミニヨン シングルドーズ ブローアップ クリーニング ホッパーセット (Mignonシリーズ専用)
ちょっと値が張るのですが、なかなかおしゃれで買ってよかったものの一つです。
ただし、ネーミングがよくない。
ブローアップというとあたかも蛇腹部分を叩くことで圧縮空気の流れでグラインダー内部に詰まった豆が排出口から吹き飛ばされて出てくる。そんなイメージになる。これはそういう製品じゃない。
少しだけ冷静になってグラインダーの構造を考えてみたらわかる。
豆は臼歯で粉砕され、その下から排出される構造ですよ? では、ホッパー内で圧縮された空気は、どこを通って外へ出ていくの? 臼歯で完全に空気の通り道は遮断されてる。
連続的な気流として粉の排出口まで抜けるには、臼歯の隙間を通過しなければならない。しかし実際の構造を見れば、そこに隙間なんてあるはずがないんです。つまりこれは、空気が吹き抜けて粉を押し出している装置というよりも、叩いたときの衝撃や振動によって、付着した豆や粉を落としていると考えるほうが、ずっと自然だとわかる。
ちなみに、ホッパーの四隅には空気穴が開いており、叩いて圧縮された空気は全部その穴から抜けている。この構造を見れば空気で吹き飛ばすのが目的でつくられていないのが一目瞭然である。
要するに、実体は「ブロー」(吹き飛ばし)ではなく「振動」ですよ。短い圧力変化がまったく無意味だとは言わないけど、主役はどう見てもタッピング、つまり叩いて落とすことでしょ。そう考えると、「ブローイングシステム」という呼び名は誤解される。
どことは言わないけど、吹き飛ばし機能を強調して販売するのは「誠実さ」に欠けている。コーヒー関係の人に特に多いのは、エセ科学的な理由でこじつける人が多いのがちょっと気になる。
グラインダーで挽く前の豆を精密に計量して、挽いた後の粉の量を精密に計量して、ほら、ほとんどばらつきがないといって youbube で紹介していたりする。その比較の仕方ではブローイングシステムが本当に機能した結果かどうかなんてわからんじゃないか。だって、各種グラインダー自体の性能比較をしていたときの実験と全く同じことやってんだもん。いかにも 0.1g単位で正確に計測しましたとか科学的なことをやっているように見せかけてるだけ。ブローアップに関係なく粉は毎回内部にこびりつくが、豆を挽くたびに前にこびりついた粉が押し出されて一定量順繰りに出ているだけかもしれないじゃないか。
だからといって、この製品自体を貶めたいわけじゃない。むしろすごく気に入っている。
私が使っているグラインダーはエウレカ・ミニヨン・スペシャリタで、この機種は外装が角ばっていて、豆が上のほうに引っかかって下に落としたいときにうっかり本体をコンコンと叩くと、正直なところ手が痛いのである(笑)。
これが毎日のこととなると意外と無視できない。そういう意味では、この蛇腹つきホッパーは非常によくできている。叩く場所が最初から決まっていて、素材はラバー製、力を入れても手に優しい。人間がついやってしまう行為(トントン)を、ちゃんと安全で合理的な方向に誘導してくれる。(ばかばかしいと思うでしょうが、これが毎日のことだからこそ効いてくる)
それだけに、名前とか紹介のされ方が惜しい。これは便利な製品で値段はともかくとしてw 超おすすめしたいのに、ブローアップシステムだと思って買うと、話が違うじゃないかということになる。
圧縮空気で内部を一掃するような仕組みを想像すると、それは違う。空気で吹き飛ばすクリーニング装置でもない。「上手に気持ちよく叩けるようにした装置」なのである。
言うなれば、ピコピコハンマーつき一人用ホッパーといったところ。
それじゃ売れない?
英語で言ったら何だろう。英語の得意な人、考えてあげてください。(笑)
