勝利から

そっと離れた中島。





微動だにせず

勝利の事を見つめている。




時が止まった。



動かない中島。

動けない俺。



どれくらいそうしていただろう。



空気が動いた。



中島が

勝利へと長い腕を伸ばす。




一瞬


始まる?

って思って焦ったが


どうも違ったようで・・・・・・。




だよな?


さすがに・・・・・・ね?

しないわな。




中島は

勝利の浴衣の乱れを

両手でもって手早く治すと


掛布団を

勝利の胸元くらいまで

引き上げた。




その一連の動作に


自分の宝物を

他人に

見せたくない

見られたくない


って

いう気持ちの表れを感じ



中島の

ひとりっ子気質を

垣間見たような気がして


ちょっと

ほほえましかった。





その後


中島は

自身の枕元に置かれていた

べっ甲のメガネをつかんで掛け

スマホを手に取ると


静かに部屋から出て行った。




しばしの静寂。




俺は

そっと布団から抜け出ると


立ち上がる事もせず


そのまま

獣のように這って

勝利の布団へと近づいた。




おーー寝てる寝てる。


しっかし

無造作に寝てるだけなのに


めちゃくちゃ

イケメンじゃね?

腹立つわぁ〜〜www。



よし!!

今回の旅の記念に1枚・・・・・・っと。


えーーっと・・・スマホ、スマホ・・・・・・。



さっきまで

自分が

寝ていた布団の方を振り返り


今度は立ち上がると

1~2歩だけの距離を移動して


枕元に

無造作に置かれているスマホを

つかみ取った。




その時



「・・・・・・うぅぅ〜〜〜んっっ・・・・・・。」


って

声が後ろから聞こえた。




俺は

咄嗟にその場で

うつ伏せ状態になり


わざと

大袈裟にいびきをかいて

寝たフリをした。




聡ちゃん?

マリウス?