「なにしてんの?・・風磨くん?」




って


声をかけた

つもりだったんだけど。


思いのほか

その言葉が声になっていなくて。



自分の耳に入ってきた


がっさがさした

荒れた声に

自分自身でも驚いた。




声が出ないのは


絶対に

昨夜

騒ぎすぎちゃったからだって

身に覚えがある僕は


ちょっと・・反省してしまう。




案の定


僕の声は

風磨くんに

届いていなかったみたいで



彼の背中は

ピクリとも動かない。



それどころか


彼はまた

スマホを構え始める。

 


布団の位置からして


きっと


勝利のことを

撮ろうとしている?




よし。


こうなったら直接攻撃だ!!




風磨くんが

スマホをかざした


その時



「あ〜〜〜っ!!

  風磨くんが

  勝利のこと盗撮してるぅぅ〜〜〜。」


そう言いながら

軽くジャンプをした僕は


彼の広い背中へと

のしかかるように張り付いた。

 


『ドスッ。』


あっ!!


ちょっと・・・

思ってたよりも

衝撃が

大きかった様な気がして焦る。


もしかして

怒られちゃうかな・・僕。



だけど


そんな僕の心配なんか

軽々と

吹っ飛んでしまう様な


背中越しに聞こえた彼の声。




「・・聡ちゃん・・・起きたの?」



彼の

柔らかい声に思わず


しがみついた指先に


『ぎゅっっ。』


って力が入る。




こんな事をしといて

なんだけど・・・。


急に

恥ずかしくなって


何も

言えない僕に


風磨くんが話しかけてきた。


「・・どしたぁ・・聡ちゃん?」




う"っっ・・・/////。


なおさら

恥ずかしくなった僕は


彼の頭に

自分の頭をぐりぐりと


押し付けた。