中島の足元に

レッドカーペットが見えそうだ。


それくらい優雅な所作。




勝利を横抱きにしたまま

セットステージのすぐ脇にて

やんわりと歩みを止め


俺へと視線を向ける中島。





「勝利がさ・・

  離してくれなくてさ・・くすっ・・・。」



「違う!違う!違うっ!!

  違うでしょ?

  変なこと言わないでよ!!」



わちゃわちゃ・・と。


・・いや

イチャイチャの・・間違いだよな。




中島は

ひとことふたこと

勝利に耳打ちをした後


壊れ物を扱うかのように


そっと

腕の中の勝利を下ろした。




が・・・。



中島が勝利から離れようとしない。


「・・なぁ?

   いつまでバックハグしてんの?」



すると


「だ・か・ら・・くすっ・・・。

  勝利が

  俺のことを離してくれないって

  そう言って・・・。」


「風磨くん・・・。」



勝利が

中島の言葉をさえぎり


俺の方を

申し訳ない顔して見つめてきた。




「・・あの・・僕の・・・。

  僕の衣装の胸元のチェーンと

  健人くんの衣装の袖口のボタンが

  絡まっちゃって・・ごめんなさい・・・。」


「・・そうか・・分かった・・・。

  でも・・何でお姫様抱っこ?

  足元は何でもないんだろ?

  普通に歩けなかった・・?」



「・・それは・・・。」


勝利が

話しかけたのと


ほぼ同時。




「俺の判断だよ。」


勝利を

かばうかのように



中島の声が聞こえた。