「えっっ?!」

「えっっ?!」




僕と勝利の声が

ぴったり見事に合わさった。


ドンピシャ。



だけど

どう見ても・・・。


『勝利がケンティーを離さない。』

・・じゃなくて


『ケンティーが勝利を離さない。』

・・にしか


見えないんだけど。



こっ・・これって

もしかして・・・。

暗闇マジックのなせる技なの?




「・・あのさぁ?・・ケンティー?」

「・・あのさ・・今・・・。」



また


僕と勝利の声が重なった。



だけど


勝利が

そのまま話を続けるから


僕は

ふたりを見守る感じで

口を閉じて

一歩後退りした。



「・・今・・なんておっしゃいました?


『僕が健人くんを離さない?』


  いやいやいやいや・・・。

  どう見たって違うでしょ?」



「そうなんだよねぇ〜〜。

  傍から見たら勝利の言う通り。

  ・・なんだけどね?」


「傍から見てなくても

  そう・・なんですけど・・・?」



勝利が

ちょっと・・・。

いや・・かなり困ってる。


ケンティーは

何が言いたいのかなぁ?


って

思っていたら



「・・聡ちゃん。

  ちょっと・・近くまで来て?」


「な・・なに?・・ケンティー・・・。」



ケンティーに呼ばれた僕は

2歩3歩と

足を前に進めて


勝利の直ぐ目の前で止まった。




「聡ちゃんは証人だからね?

  ほら・・見てよ?

  勝利も・・ちゃんと見てね。」



ケンティーが

勝利を

抱きしめている右腕を

そっと

持ち上げて

僕たちにその様子を見せた。


暗闇の中

僅かな光を反射して

ケンティーの右腕の下が

キラキラとしてた。




なんだろうって思って

目を凝らしてよく見ると


ケンティーの袖口のボタンと

勝利の胸元のチェーンが

絶妙に絡み合っていた。



「あっ・・・。」

「あっ・・・。」



勝利も僕も

納得せざるを得なかった。



「ね?

  勝利がさ・・・

  離してくれないでしょ?」



ケンティーが

楽しそうに

自慢げに袖口を振った。