綺麗な笑みを浮かべて
勝利が俺に言う。
『本物がいるじゃん。』
って。
『クリアファイルなんか必要ないでしょ?』
って。
そして、それだけでなく
『佐藤勝利を俺にくれる。』
って・・・。
えっ!?なにっ?
ちょっと待って!
ちょっと待って!!
しかも俺・・・。
いつの間に
勝利の事もらってたの?!
いつだよ?
いつなんだよ!?
全然知らなかったわ・・・。
そんな大事なこと
頼むからハッキリと言ってくれよ?
・・・ん?ちょっと待てっっ!!
勝利が俺のモノ?
・・・って事は
俺のすきにしていいって事!?
うっわっっ!やっべぇっっ!!
鼻血出そう・・・。
・・・僕の目の前で。
う~ん・・・正確に言うと
僕のすぐ下で
健人くんが百面相してる。
もしかして
最後のやつ・・・。
知らなかったの?
覚えてなかったの?
なぁーんとなく
そんな気はしてたけどね?
まぁ、面と向かって
ハッキリと言ったわけじゃないし
僕も恥ずかしかったから
ゴニョニョって言った感じだったもんな。
僕も若かったな?
ってか、青かったな・・・。
「ねぇ?所でさ?電気付けてもいい?」
心ここにあらずな健人くんに聞く。
「えっ?あっあぁ~あ、いいよ。」
枕元にあった照明のリモコンを手に取り
全灯ボタンを押す。
それとほぼ同時に
健人くんの顔に抱きついた。
だって
急に明るくなったら眩しくて
目が痛くなるじゃん。
「しょーり?」
「眩しいでしょ?目痛くない?
そっと開けて?大丈夫?」
抱きしめた腕を緩めて顔を見る。
「勝利がキスしてくれたら目が開くよ。」
全くもう・・この人は・・・。
良く言えるよね?そんなセリフ。
僕だったら恥ずかしくて
絶対に言えないよ!!
「勝利?」
健人くんが僕の背中をなでて催促する。
もぉ~おぉ~~~~。
何だかんだといっても
僕はこの人の事が大好きなんだ。
心底惚れちゃってるんだって思った。
『チュッ』『チュッ』って
左眼と右眼それぞれに
触れるだけのキスを落とした。