平成中村座の思い出

本日１０時より

チケットの一般発売が始まりました

平 成 中 村 座

     陽春大歌舞伎

      十八世中村勘三郎を偲んで

            ４月1日初日→５月３日千穐楽

        浅草寺境内 仮設劇場にて

歌舞伎は通年、歌舞伎座をはじめ 多くの劇場で公演が行われていますが

この平成中村座は 期間限定、この公演の為にだけ建てられる仮設の劇場で

江戸時代の芝居小屋の雰囲気の中

歌舞伎が気楽に楽しめます

歌舞伎座のちょっと あらたまった雰囲気もいいのですが…

芝居好きの庶民がワイワイと詰めかけた お江戸の芝居小屋を再現した

平成中村座はとても魅力的な場所です

前回の平成中村座、

平成２４年５月

東京の新名所東京スカイツリー開業

そして

勘三郎さんが亡くなった年でもありますが

縁あってチケットを譲って頂き、

観劇の機会を得ました

初日だったかと記憶していますが、

勘三郎さんの奥様の好江さんと

勘九郎さんの奥様の愛さんをお見かけしました

二人の息子さん勘九郎さんと七之助さんも立派な歌舞伎役者になり

孫の七緒八君も生まれて

勘三郎さんは幸福の絶頂だな、と思ったのを覚えています

その頃、私はまだ歌舞伎ファンではなかったので驚くこともできなかったのですが、

今、筋書きを見てみると

豪華な顔ぶれにビックリです

そして現在９４歳現役の歌舞伎役者

中村小山三(こさんざ)さんと

勘三郎さんの口上も拝見しました

長年、中村屋を支えてらした小山三さん

勘三郎さんが満員のお客様の前でおっしゃった言葉

「小山三さんは中村屋の宝」

どんな思いでお聞きになっていたのでしょう

前の方のお席は平場、座布団

その後ろはベンチシート

入り口で靴を脱いで入ります

笑顔いっぱいのお茶子さん(劇場内のお仕事や案内をして下さる方々)が元気よく迎えて下さいました

仮設劇場なので、少し床が凸凹している所があったような気がしますが、

靴を脱いでいるのでとても歩きやすく

観劇中もリラックスできました

「髪結新三(かみゆいしんざ)」は

風薫る五月の上演にふさわしく

肴(さかな)売りが初鰹(カツオ)をさばく場面があるのですが、この場面で使われる小道具の鰹が本当によく出来ているのです

勘三郎さん演じる髪結新三に求められて、肴売りが手際よく ドンと包丁を入れると、鰹は真っ二つに割れ 真っ赤なワタが出てくるのです

もちろん作り物の鰹なのですが、私は少し後ろの方の席だったので

その真っ赤なワタが本物のように見えて

とても面白かったです

役者さんの演技や物語に対して感動するのはもちろんですが、

こういった小道具や舞台装置の見事さ面白さも、歌舞伎の大きな魅力だと思います

その時、鰹にウケていたのは 私だけじゃありませんでした

後ろの席のマダーム達が大喜びで

歓声をあげて楽しそうに笑ってらっしゃいました

「あれ、本物？…じゃないわよねえ。ウフフフフフ」

と笑いあって、とっても楽しそう

私も仲間に入りたい気分でした

実はこのマダーム達、

「今、なんて言ったの何だか、みんながドッとウケたでしょう～」

などと ずっとおしゃべりしながらの観劇だったのです

でも、何故か…

全然、気になりませんでした

むしろ楽しくて

失礼ながら微笑ましくて

芝居小屋の雰囲気を盛り上げて下さっているように、心地よく感じていました

多分、高齢の方だったと思うのですが

お声が細かったのと、本当にお芝居に集中して心底楽しんでいらっしゃるというのが伝わってきたので、気にならなかったのだと思います

私はこの「髪結新三」で 勘三郎さんが傘をさして花道から登場、前の場面とガラッと変わって 眼光鋭く悪の表情を見せる場面が忘れられません

勘三郎さんのドキュメンタリーなどを拝見した時、

あったかくて面白い勘三郎さんも好きですが、私はカッカと何かに怒っていたりちょっと気難しいような面をチラッと見せたりする勘三郎さんが好きなんです

もう亡くなってずいぶん経ちますが、下町育ちの伯父が いつも怒ったようなしゃべり方で、子供の頃は恐かったのですが

私の結婚式の時や 私の弟が重い病気にかかった時など、人目を憚らず滝のように涙を流して泣いていたので驚いたものです

ちょっとイメージが重なる部分もあり

それで 怒っている勘三郎さんが好きなのかもしれません

春が待ち遠しいですね

お江戸浅草 平成中村座へ 

皆様そろってお出掛け下さい