午後から風が冷たくなった昨日
背の高いヴァシリーさんと一緒に
辻井伸行さんのピアノを聴きに
サントリーホールに行って参りました
1840年創設のイギリスで最も長い歴史を誇るオーケストラだそうです
指揮はヴァシリー・ペトレンコさん
1976年レニングラード生まれで、
2006年よりロイヤル・リヴァプール・フィルの首席指揮者を勤めています
6分程の短い曲で始まりましたが…
指揮者のヴァシリーさんがお若いせいなのか鋭く研ぎ澄まされたキレのある演奏で、一気に会場が熱くなりました
容赦無くドカーンとやられました
最初の曲なのに、立ち上がって拍手したい位でした
個性の強い、ちょっと俺様な指揮者さんなのかもしれないなと感じました
私は俺様大好きなので、勝手な想像をして楽しんでいました
ピアノが運ばれて、いよいよ辻井さんの登場です
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番は、とてもロマンティックで素敵な曲ですが、かなりの超絶技巧を必要とする難しい作品だそうです
ピアノの前まで来た辻井さんの表情が固く、緊張が感じられました
(他の方の演奏ですが)CDで聴くラフマニノフの3番は、哀愁を帯びた旋律から始まって それ程激しい印象はなかったのですが…
今回は、辻井さんが演奏中に何度かポケットからハンカチを出して汗をぬぐう場面を見ましたので、大変な難曲なのだろうなあと思いました
もう世界を飛び回る超一級のピアニストなのですから、こんな言い方は失礼ですが、辻井さんは本当に大人っぽくなられて、ますます力強く美しい演奏を聴かせて下さいました
演奏を終えた辻井さんは まだ緊張が抜けきらない様子で、お顔が真っ赤に紅潮していました
初めて そんなお顔を見ました
普通の拍手喝采の3倍位の拍手喝采
ホールが揺らぐ程の喝采の嵐
奥の方から
~~ゥオオゥ~
~~~ゥゥォオオゥ~~
という声もかかりました
おそらくブラボー だと思います
何度も何度も舞台に戻って来てくれて
深々と全ての方向に向かってお辞儀をする辻井さん
全身全霊で演奏を終えて お疲れなのはわかっていますが、いつまでもノブ君と同じ空間にいたいいつまでも拍手していたいと皆さんが願っていたのだと思います
私はいつものように感動の涙が流れて、もう本当に心から満ち足りてしまったのですが、後半戦も聞き逃すわけにはいきません
恥ずかしながら ショスタコーヴィチは全く聴いた事がなかったので、なんの先入観もなく聴き始めました
不安をかきたてるような旋律が続き、だんだん激しくなっていきました
音量も大きくて、私の席は右側が壁だったのですが、音が怒涛のようにぶつかって砕けて、少し聞きづらかったです
その激しさを表す出来事として、コンサートマスターさんのヴァイオリンの弦が演奏中に切れたのです
すると彼は、お隣のアンジェラアキ風の方のヴァイオリンを借りて演奏を続けました
アンジェラさんは、弦の切れたヴァイオリンを、今度は後ろの席の女性演奏者と交換して、何食わぬ顔で演奏を続けます
この時点で、既に私はショスタコーヴィチの難解な世界についていけなくなっていたので
この珍しい出来事を 単眼鏡で興味深く見ていましたが、ヴァイオリンは私の予想に反して最後列の演奏者までリレーされることはありませんでした
アンジェラさんから弦の切れたヴァイオリンを渡されたハナさんが(←私の妄想の中のお名前ですよ)、慌てることなく新しい弦を取り出し、取り替えていました
この間、演奏は激しく続いています
新しい弦を張った後、音はどうやって合わせたのかハナさんに聞きたかったです
こんなアクシデントもありましたが、私の初ショスタコーヴィチは、強烈な印象を残していきました
俺様指揮者の(←私の勝手な妄想違っていたらゴメンなさい)ヴァシリー・ペトレンコさんの思惑通りノブ君のラフマニノフを聴いて夢見心地マッタリ~ふんわり~な気分のままでは終われませんでしたが、
カッと眼が開いて足取りも力強くなったような気分、エナジー頂いて家路につきました
ほんの少しですが、広大な音楽の世界の新しい一面を知った とても刺激的な夜でした
辻井さんは、これからもずっと世界中で色々な指揮者や演奏者やオーケストラと出会ってゆかれるのでしょうね
健康に気をつけて頑張ってほしいです
*辻井さんの辻の漢字のしんにょうは、本当は点が一つです
正しい漢字が表示されませんので失礼します