先日、埼玉県の川島(かわじま)という所にある
遠山記念館 とおやまきねんかん
を訪れました。
 
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一見地味に見えるかもしれませんが
説明を聞くと、いかに贅を尽くした作りであるかがわかります
大きな沓脱石(くつぬぎいし)は京都の鞍馬石だそうです



この地に 豪農の長男として生まれ
後に日興證券の創立者となる
遠山元一氏が、

幼い頃、父親の放蕩 お酒により 没落した
生家を再興する為

2年7カ月の月日と
全国の選りすぐられた銘木、
最高の技術を惜しみなく注ぎこんで
完成させた 伝統的日本建築です。



昭和11年竣工、幸いにも戦火を免れ
一度の改築もなく
今日に至っているとのことでした。


国登録有形文化財 ですので、
邸内の建具などには一切
手を触れることはできませんが、

監視員の方もおらず、
特別な結界(仕切り)なども殆どないので


落ち着いて
遠山氏の母親である 美以さんが
晩年を過ごされていた頃の
雰囲気を味わうことができます お茶お団子

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庭に面した長いながーい廊下には、
長いながーい一本の材木が使われています

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一階主座敷の書院飾りの彫刻
下の段は、花の一つ一つが宙に浮いているように見えますが
よく見ると楊枝の先ほどの
小さな部分が数カ所彫り残されています
最後に一箇所でもミスったら全部パー!


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お金は出すけれども、
余計な事は一切言わなかった遠山氏でしたが
この母親の部屋に関しては色々注文を出してきたそうです
優しい色調と絵柄のふすま絵に母を思う気持ちが感じられます


この控えめながらも 
豪勢な この邸宅は、
遠山氏が 母・美以さんの為に建てたものなのです。



彼が、丁稚(でっち)奉公から始まり、
日興證券という大きな会社を成功させ
財を成す30数年前、


夫の不始末の為、
美以さんは
長男である遠山少年を残して
実家に戻りました ガックリ汗


再婚話が持ち上がったとき、
美以さんは、当時11才だった遠山少年に相談に行きます。


小さい頃から縁薄く育っていたので
遠山少年にとっては、
母親と膝を突き合わせて
話をする最初だったそうです。


その時、遠山少年は・・・


"母と別れていても別段さびしいとは思わなかった"        ~遠山元一著「兜町より」


と言いながらも、
やはり血の繋がった親子ですので
自然と次の言葉が出たのだと想像します。



" 自分がおおきくなって迎えに行くまで、お母さんは よその人にならずにいてほしい"

"いずれの日にか手をとりあっていっしょに暮らしたい、
えらくなって迎えにきてやる、きっと実現してみせる"



・・・というようなことを言ったと思う、と著書の中で語っているそうです。


突然、
自分でも説明がつかないような
母に対する激しい気持ちが湧き起こったとのことです。


11才の少年の凄まじい決意 メラメラメラメラ
そして、
それを実現させてしまうのですから、
遠山氏の意志の強さに驚嘆します。



ボランティアガイドさんの
思いがけないドラマティックなお話に
思わず よろけそうになりました ショック!あせる



そして 最後に・・・

豪華な豪華な
遠山邸の 端午の節句飾りをご紹介します

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周辺は のどかな田園風景が続くばかりで
なーんにも ありませんが・・・
日本の木造建築がお好きな方には
オススメの場所です。