壽靱猿 ことぶきうつぼざる
鳴滝八幡宮の場 
幕が開く前から、
歌舞伎座内の温度が
グンと
上がったような雰囲気に包まれ・・
まずは
紅いホッペがご愛嬌の
女大名・又五郎さん
凛々しい お供の奴橘平・巳之助さん
春の景色が美しい
京の都の鳴滝八幡宮で
靱(うつぼ=矢を入れて持ち歩く道具)
に使う 猿の皮を探しています
シャリーンと音がして
三津五郎さん 
と思いきや
ちっちゃな小猿が 身も軽く
ピョンピョンと飛び出してきました 
小猿を追って いよいよ・・・
猿曳(さるひき)寿太夫
三津五郎さん登場
熱い思いに溢れた 大きな拍手が
わき起こります 
三津五郎さんが 歌舞伎座に
帰って来て下さった喜びに
皆さん酔いしれています 
もう既に この時点で
涙ぐんでいる人
もいました(←わたし)
もいました(←わたし)以前と変わらない
しなやかで美しい身のこなし
うっとりと見惚れてしまいました・・
自分の子供 同然に
慈しんできた小猿を
女大名に求められ
殺さなければならなくなり・・・
小猿に事の次第を語り聞かせ、
思いを伝えようとする寿太夫
そうとは知らず
健気に芸をする小猿
寿太夫・三津五郎さんが
小猿を オンブしたり
抱きかかえたりするたび、
隣に立つ
今は 立派に成長なさった
巳之助さん(三津五郎さんのご長男)も
ちっちゃい時は
こんな風に
オンブや抱っこされていたのかしら～
という
勝手な想像が ふくらみまくり、
涙腺が さらにやられました
女大名は 小猿を憐れに思い、
靱にする事を諦めました
喜んだ寿太夫は お礼として
天下泰平、武運長久の舞を
小猿に舞わせます
めでたしめでたし
三津五郎さん
今日は素晴らしい舞台を
本当にありがとうございました
心が幸せで一杯です
