マイナーペンタトニックスケールがメジャーキーで使える理由
(例えば、Eメジャーで、Eマイナーペンタが使える理由)
ブルースやロックでアドリブをする場合、とりあえず、
メジャー(長調)の曲でも、マイナーペンタを使えば、なんとかなる、
というのが、通説となっています。
実際、そうなのですが、
メジャーの曲の基本的なスケールは、
C調の場合、
CDEFGABC
であるのに対し、
マイナーペンタトニックスケールは、
C-Eb-F-G-Bb-C
であり、EbとBbとは、メジャースケール外の音になっています。
では、なぜEb、Bbが入ってきても違和感がないのか、
おそらく、理由は、以下の通りではないかと考えました。
まず、前提として、人の音の聴こえ方について、
ピタゴラスの時代から、もっとさかのぼると、古代中国の時代から、
人の耳は、一般に、二つ以上の周波数の異なる音を聴いたとき、和音の場合でも、単音ずつ連続して聴いた場合でも、二つ以上の音の周波数の比を整数の比で表したときに、その整数が小さいほど、即ち、整数の比が簡単であるほど、調和していると感じると言われています。
ピタゴラス律や三分損益律(ピタゴラス律以前に成立していた古代中国の音律で、計算方法は、ピタゴラス律と同じ。)の計算方法は、この原理に基づいています。
そこで、整数比で表される周波数比の分布がどうなっているかを調べてみました。
添付図は、その分布図になります。
図の横軸は、一つの音の周波数に対するもう一方の音の周波数の比であり、縦軸は、周波数比を整数比B/Aで表したときの、整数の和A+Bになります。
そして、図中の黒点が、簡単な整数の比(B/A)となる周波数比の点であり、整数が簡単であるほど、つまり、A、Bが小さいほど、下になります。なお、図では、比較的簡単な整数比(A+B<30)のものだけを示しています。
そして、赤い+が、平均律の音階の周波数比であり、緑◆が、ピタゴラス律の音階の周波数比であり、赤丸で囲んだ音階が
マイナーペンタトニックスケール C-Eb-F-G-Bb-C
になります。
そうすると、平均律、ピタゴラス律双方の各音階の周波数比の近くに、黒い点が存在していることが解ります。つまり、平均律にせよ、ピタゴラス律にせよ、或は、純正律にせよ、根音に対して、簡単な整数比で表される周波数比のところで音階を設定している、つまり、人の耳が調和を感じる周波数比のところに音階が設定されていることがわかります。
例えば、Gは、1.5、つまり、3/2、Fは、1.3333…、つまり、4/3など。
そこで、C調で考えたとき、基本的なスケールは、CDEFGABCですが、
図から理解されるように、
Ebの整数比は、ほぼ6/5であり、
Bbの整数比は、ほぼ9/5となります。
この整数比の簡単さの程度は、DやBよりも低くなっています。
従って、理屈として、
C調においては、Eb、Bbは、根音Cに対する調和の程度が大きいので、
基本的なスケールに入っていなくても、違和感なく聞こえる、
ということであると思われます。
(逆に、調和性の低い、つまり、整数和が大きいC#、D、Bは、使いにくいということが言えます。)
まぁ、そんなことを考えて、
アドリブソロをする方はいらっしゃらないと思いますが....

