長男が第1志望の高校に受かったからってわけじゃないんですが、新しい自転車を買ってやることにしました。
本人の希望では、カゴ付きで…できればスポーツタイプがいいってんです。
カゴ付きにこだわったのは、高校の通学を自転車でって思ってるかららしいんですが、私鉄の駅で言うと10個分あります。
アフリカなんかじゃ、何十キロもある道のりを走って学校に通うって話を聞きますがね、それに比べたらって言っても大変だと思いますよ。
まあ、そんな都合のよい自転車なんかありゃしないだろうって思いながら、息子と自転車屋に行きました。
カゴ付きというのは基本的に荷物をのせる設計になってますから車体を重くしてあります。まあ、バランスを考えてのことなんでしょう。
一般的にママチャリと呼ばれているカゴ付きの自転車は安定性を重視したものですね。
逆にスポーツタイプはスピード重視です。
なるたけ軽くしてます。
その代わり、自動車にぶつかったらコッパミジンです。
そしたら、あるんですね。その中間が…。
カゴが付けられるように車体を少し重くして、見た目はハンドルとサドルが水平なスポーツタイプです。
買いました。即決です。
そうなるとですね、私の家族はそれぞれ自転車をもってますから、4台ありますから、置き場所がなくなります。
今、次男が使ってるのは長男のお下がりなんですが、サドルを目いっぱい上げてるんで、危ないからそろそろ代えどきかなって思ってましてね。
次男にも、新しい自転車を買ってやろうかって思ったんですが、本人は今長男が乗っている自転車がいいってんです。
お下がりって嫌がるもんかと思ってたんですが、そうとも言えないんですな。
それじゃってんで順繰りに大きめの自転車に乗ってもらうことにしまして、今まで次男が乗っていた自転車は処分ってことになりました。
処分てことになったんですが、次男がなかなか「うん!」って言いません。
このやろう!しばらくの間2台とも独り占めしようって魂胆だな~って思ったんですが、どこかで決着しないとスペースばっかとられますからね。
で、今まで長男が乗っていた自転車のサドルを下げまして試乗してみて不安がなければ処分します!って言ってね。
本人がどの程度納得したか解りませんが「うん!」て言わせました。
今までありがとう
って次男と一緒に別れを告げまして、私は自転車屋に向かいました。
今なら、無料で処分してくれるってから自転車屋に向かいました。
私の家から50メートル程進んで大通りに出たところを右折して真っ直ぐ行きますと自転車屋です。
自転車を押しながら、一度振り返りますと次男は家に入らずこちらを見ています。
もう一度振り返ったんですが、まだ見ています。
大通りに出て右折する前にまた振り返りました。
次男は、手を振っていました。
もちろん私にではなく自転車になんだと思いますが、私は手を振り返しました。
右折して大通りを進み始めた時にやっと気付いたんです。
この自転車には、たくさんの思い出がつまっていることを。
長男と一緒にこの自転車を買いに行ったことから、次男が野球の練習や試合にこの自転車にのって出かけていくことまで…。
泣きながら自転車屋に向かいました。
今も泣きながらキーボードをたたいてます。
自転車屋に着きました。
長男の新しい自転車を買ったばかりなので、店員さんも覚えていてくれたようで処分する自転車だとすぐに判ったようで、はずして残しておきたい部品などはないですか?って訊いてきました。
そうなんです。
形見と言いますか、何か残す人がいるんでしょうね。
それじゃ前輪を外していただけますか…とは言いません。
なるべく小さなもので部品だと判るもの…。
私は要りませんと答えました。
思い出は私の胸の中に充分すぎる程ありますから。
酪農家が、老いた家畜を肉屋に渡す気持ちってこんな感じなんでしょうか。
自転車に名前を付けなくてよかった!
ケンパパでした