3/11の地震は、東京にいる私にとっては被害が少ない方だったと思います。

次々に映像が送られてくる東北地方は、本当に大変なことになってます。


東京にいた私も、交通手段と通信手段を断たれ「丸裸」にされました。

別に本当に裸になったわけではないですよ。

文明の衣をはがされ、野生の動物と同列になったという意味です。


地デジ化元年の2011年に、皮肉にも自然の力の前では人間は無力であることを知らされました。


帰宅するには歩くしかないん。

街を見れば、江戸時代のような光景ですよ。って江戸時代の光景を見たわけじゃないんですけどね。


東京では、停電は起きなかったので、ある程度の情報は入ってきます。

でも、当り前のように使っていた携帯電話が、ガラクタになっちゃった。

なんとかメールで家族の無事(私以外は全員帰宅)が確認できたので、あとは自分のことだけでした。


その時、私は大田区の大森ってとこにいましてね、帰るには新宿の方まで行かなきゃなんないんですが、電車は全てストップ。

バスは動いているんですが、品川経由で新宿ってのは相当な混雑が予想されるわけです。

ラジオで流れる交通情報ってのは、通行止めになった高速道路の話ばかりですから、一般道の渋滞に関してはほとんど頼りになりません。


その大森で私がいた所っていうのは、焼き鳥屋のチェーン店の本部だったんです。

ビルの中に入った事務所です。

確定申告の時期だったんで、ちょいと手伝いに行ってたんですが、泊まれないことはないん。

社長にお願いして、一泊しました

社長は、歩いて帰れるってんで私に鍵を渡して姿を消しました。

ひとりぼっちになったんです。


応接用のソファアはあるので、そこで寝ればいいんですが、娯楽が何もないです。

パソコンはあります。エアコンもあるんですが、地震の後は弱っちゃって暖かくないん。

とりあえず、食料を買いに出たついでにテレビのある焼き鳥屋に入って、酒を飲みながら情報を仕入れました。

思った通り、道路はかなりの渋滞です。


3/12はライブの予定が入っていたので、風邪をひかないように寝床を暖かくしようと思いましてね。

物色していたら段ボールがあったんです。

書類かなんか入れておくための大きめのヤツで未使用のがあったんです。

それをソファアに立てかけて蓋をして、棺桶みたいにしまして、顔だけ出せるようにしました。


なんか楽しいんです。

そうやって工夫して生き残ろうとする行為が、何故か楽しいん。

ま、電気が生きてますから贅沢な感想なんですけどね。


で、商業用のビルってのは、ある時間になったらシャッターが降りちゃって中から外に出られないですから、その辺も社長に聞いてましたから、食料と一緒に酒も買い込んでおきました。

22時くらいですよ。焼き鳥屋から戻ったのが…。

そっから完全にひとりぼっちです。


ほんとに何にもないん。

試しに社長のパソコン開いたらね、ネットには接続できるん。

とりあえず、YouTubeで何か音楽を流そうと思いました。

ラジオはあったんですが、ニュースばかりで音楽を流してないのでそうしたんです。


気持ちに余裕がないですから、最新情報とかねレアな映像を探そうってならないですよ。

だから、中学生の頃に毎日聴いていた「CAROL(キャロル)…矢沢永吉が20代に結成したロックンロールバンド」ばっかり探して観てたんです。

安心するんです。気持ちが落ち着くってのを飛び越えて、興奮するんです。


その後は、翌日にライブをやるにあたって選曲したものをアーティスト名から拾って、検索かけて観てました。

でも、不思議と現実に引き戻されます。

明日のライブは大丈夫かなって。


段ボールで作った寝床に、そのまま入って眠れそうもないなって思ったから、買ってきた酒が無くなるまで飲んで、もぐりこんだん。

思ったより暖かくてね、ホームレスの人の生き方って、もしかすると知恵のかたまりなんじゃないかって考えたりしてね…。


事務所に泊まった翌日は、朝の9:30頃に母からの電話で起こされまして。

「電車動いてるわよ!」って言うから、帰ろうとして京浜東北線で品川まで行ったら、山手線が動いてないん。

品川から泉岳寺まで歩きまして、都営浅草線で大門まで行きました。

そっから都営大江戸線に乗って帰ったんですが、品川周辺は凄いことになってました。


電車を待つ人達がピタ~っと並んで、改札の外も京急に乗り換える人がピタ~っと並んでますから、どっからどう移動したらいいのか解らないくらい人の壁に囲まれてましてね。

でも、思ったんですよ。

ストライキとか人為的な理由で電車が動かないんじゃないですから、文句を言う相手は地球ですから、皆んな黙って並んでます。

仕事に行かなきゃなんない人もね、大自然の災害の前では諦めちゃいますよ。


歩きで移動している人も、どこか穏やかでした。

もう何か映画のワンシーンを見ているような、エキストラが歩いている感じなんです。


私ね、実はもの凄いパニック状態になるんじゃないかって思ってたん。

我先にって感じで、先を争って自分を優先した行動に出るんじゃないかって思ってたんですよ。

そしたら、何か助け合おうという雰囲気が満ち溢れているんです。

携帯電話よりも駅員の情報が頼りになるし、電車が動かないことに文句を言う人もいない。


なんか、みんな優しくなった感じがしてね。

何時間もかけて歩いて帰ったことを自慢したり、バスやタクシーに乗るために並んだ人達は戦友みたいな気持になったりしたんじゃないかって気がします。


実際の大被害は東北の津波なんですが、助け合ってますよ。

東京にいる私が呑気に書いてるブログの比じゃないと思います。

3/13になって届いた映像は、現実のものとは思えない程凄まじいです。


でも、最後は人間同士が助け合うしかないんですね。

コンピューターもロボットも助けてくれません。

インターネットで世界が繋がったと勘違いしている方もおられるでしょうが、今!目の前にいる誰かに何かしてあげられるのは自分なんです。


タスポを持たない私が、コンビニでタバコを買う時、お店に入った瞬間に私がいつも頼む銘柄のタバコを黙って差し出してくれるのは人間なんです。

関係ないか!


上手く言えないんですけど、人と人は繋がっているよ。

まだまだ捨てたもんじゃないんだ世の中は…って地球が教えてくれた気がするんですよ。


3/12のライブには6人ものお客さんが来てくれました。

6人しかじゃないん。6人もって思えるんです。

中止の声も上がったんですが、一人でも来てくれたら止めるわけにいきません。


私は、お客さんの笑顔を見るためにギターを弾いていますから。

地震ごときで、ライブを楽しみにしていたお客さんが、突然の中止で悲しい顔で帰って行く姿を想像したくないんです。


やってよかったですよ。ライブは…。

きっと地球は、私を試したんじゃないかって思ったくらいです。


おまえの演奏に対する思いがどれ程のものか見せてもらおう~!

ってね。


ケンパパでした