長男が歯医者に通ってまして、虫歯とかそういう治療ではないんですが、歯列矯正ってやつのために約8年くらい通ってます。

今、小学6年生ですから、保育園の頃からってことになります。

最初に「交差咬合(こうさこうごう)」だってことが判って、治療していました。

それは治ったんですが、永久歯に生え代わった時に同じ事が起こる恐れがあるとかで、歯列矯正が始まったのでございます。


地下鉄を2本乗り継いで行くんです。

近所の歯医者にしなかったことに、特別な理由はなかったと思います。

父親の知り合いの歯医者で、私もお世話になってますから、自分が診てもらう時についでに連れてったという、そんな程度の始まりだったのでしょう。


こんなに長く通うとは思ってなかったですけどね。

で、まあ、一人で通わせるわけにはいきませんから、私が付いていきます。

だんだん大きくなって電車なんかも乗りなれてくるんですが、保険が利かないところなもんで、費用が高いですから、お金持たせて一人で行きなさいってのをしそびれまして、気が付いたら6年生になっていたわけです。


それと、近所にジャズ喫茶がありまして、子供が診てもらっている間にそこで時間を潰すのも、私の一つの楽しみでしたから。

当り前のように二人で通ってたんです。


そしたら、今日。

どうしても都合がつかなくなりましてね。

子供一人で行かせたんです。

今までも、スポーツ教室やなんかは一人で電車に乗って行くってことはありました。

ただ、そういう場合は必ず迎えに行かなきゃなんないキマリでした。


だから、一人で行って一人で帰ってくるってのは初めてじゃないですかね。

親ってのは、それだけのことで妙に心配なんですよ。


保育園の頃は毎日送り迎えがあったのが、小学校に入った途端一人で行って帰ってくるでしょ。

最初の頃なんか、下校時刻になったら家の窓から外を見てましたよ、私。

その時の感じに似てますかねぇ。


3年生の次男からしてみたら、6年生は大人だそうです。

だから、大丈夫だってんです。そうかもしれません。


で、自分の事を振り返ってみました。

私ね、中学を受験する予定だったんです。

自分で希望した事じゃないん。


小学4年生くらいの時に、どの科目も平均して成績が良かったんですね。

思えば、その時がピークだったんでしょうけど、母親が舞い上がってしまいまして、担任の先生に相談に行ったところ、国立中学を受験してみてはどうかって言われたらしいん。


子供が何かを始める動機ってのは、半分くらいは親を喜ばせたいってことじゃないかと思うんですよ。

テストで100点をとる事や運動会のかけっこで1位になる事なんかはそうだと思うんです。

喜ぶでしょ?親だったら。褒めるでしょ?子供を。

どんな態度をとってても、内心嬉しいんですよ、子供は。


だから、自分の気持ちなんかよりも、合格すれば母ちゃんが喜ぶんだろうなって思って、受験することにしたらね、家庭教師がついたり、日曜日は公開テストみたいなもんを受けさせられたり、夏期講習に冬期講習といろいろやりました。

学校の友達は一緒じゃないから、一人で電車に乗って行くんです。


心細いですよ。こううのは。

何か、行った先に楽しい事があるわけじゃないん。

ひたすら勉強です。中には怖い先生もいます。

席が近い子とは仲良くなりますが、住んでる地域が違うので帰る時は一人です。

しかも、夕日を見ながら帰るんです。


息子の場合は、歯医者だ。

楽しいわけがないんですよ。

どんな気持ちで地下鉄に乗って帰ってくるんでしょうかねぇ。


つづく