合否が分かるまでは連絡しないように。そう言っておきながら、合否発表だと言われた日に、斗真に頼んで電話をかけてしまった。
『櫻井さん?』
「あ…うん、櫻井です」
『合格したよ』
「あ……おめでとう」
『今日からは毎日電話出来るね』
「うん…」
『…今から会いに行っていい?』
「え?あ…うん」
待っててね、って言葉を残して切られた通話。
「今から来るって」
「じゃあ俺はお邪魔だな。また来るから。サクラ、雅紀が来るまでよろしくな」
わん!と吠えるサクラ。
「サクラ…」
伸ばした手をペロッと舐めて、顔を寄せてくる。
「いい、のかな」
俺、相葉くんに甘えていいのかな。
「櫻井さ〜ん」
『はーい』
サクラと櫻井さんの足音。
「はい」
「こんにちは」
「相葉くん」
「上がっていい?クッキー持ってきたんだ。一緒に食べよう」
「うん」
サクラ、櫻井さん、俺の順でリビングに入る。
「座ってて。すぐに用意するから」
「うん…ゴメンね」
やかんをコンロにかけてお湯を沸かす。
「櫻井さん」
「うん?」
「俺、本気で櫻井さんの恋人になりたいよ」
「…ん」
「櫻井さんのこと支えたい」
「……うん」
「俺には"ありがとう"ってあんまり言わないね」
嫌味ったらしく言ってしまった自分に後悔する。
「それは…」
「あんまり、心許してくれてないのかな、なんて…思っちゃう。ゴメン」
「あ…うん、俺もゴメン…」
ごにょごにょと何か言ってるから、コーヒーを作って隣に座る。
「あの…恋人、いいの?」
「え?いや…むしろ聞きたいけど。俺でいいの?まだ未成年で頼りないけど」
「あ、うん…大丈夫。恋人、なりたいな、と思って…」
少し照れたように顔を赤くしてる。本人は分からないだろうけど、言ったら顔を隠されそうだからやめとこう。